アナログシンセ回路
Minimoog 前期型のアンチログ回路を下に示します。 前回示した一般的な回路では、抵抗を介して OP アンプ出力から共通エミッタ電流 (テイル電流) を供給していたのに対し、この回路では、トランジスタを使ってテイル電流の値をコントロールしています。
「エミッタ電流のセンス」の例として、Minimoog 前期型のアンチログ回路を取り上げます。 この回路は一般的な、エミッタを結合したペア・トランジスタによるアンチログ回路です。 この回路形式は、単電源動作でも十分実現できることを示します。 その前に、…
これまでは、ベース電流補償のような回路的な要因による誤差を扱ってきましたが、ここでは、トランジスタ自体の持つ誤差の補償を考えてみたいと思います。 理想的な ΔVbe - Ic 特性を阻害する要因のひとつとして、「エミッタ直列抵抗」としてシミュレーショ…
これまでベース電流補償回路について述べてきましたが、そもそもベース電流が流れなければ、補償する必要はありません。 Q2 のベースをドライブする Q902 を NPN トランジスタではなく、Nチャネル MOSFET にすればゲート電流は流れません。 ただし、Q901 の …
これまでの回路では、抵抗 R902 によって約 1 μA の参照電流を直接設定していました。 しかし、この方法ではアンチログ入力電圧によって電流の設定値が減少してしまう欠点があります。 単なる抵抗の代わりに定電流源を使用すれば、この問題は解決します。 こ…
まず、「OP-07」方式の変形を下に示します。 これは、電流のコピーと 倍する順番を入れ替えたものです。
前回述べたように、ベース電流補償はリセット型 VCO の高域補償に振り替えて行うことができます。 これから述べるアンチログ回路内部でのベース電流補償は、温度特性が良好な方式では追加のトランジスタを2個以上必要とするので、実用的な価値は低いかも知…
この回路は「ベース電流補償型カレントミラー回路」を基本とするものなので、Q2 のベース電流は Q902 のエミッタから供給されますが、Q902 自体のベース電流は R902 を通じて流れ、その分、Q901 のコレクタ電流が減ってしましいます。 この Q902 のベース電…
ブレッドボードのアルミ板をグラウンドに落とした上で、ベース結合アンチログ回路の特性を再測定しました。 コレクタ電流 の測定のためテスタを接続すると、テスタリードを通じてハムが乗ってしまうので、電流を実測するのはあきらめ、計算によって求めるこ…
前回、測定回路が電流値の低い部分で不安定と書いたのですが、実際には、電源ハムが乗ったせいであることが分かりました。 測定回路を秋月で扱っているブレッドボード「EIC-104」上に組んだのですが、土台のアルミ板に触れると誘導するハムの量が変化します…
ベース結合アンチログ回路の特性の測定結果から CV 電圧と Q2 のコレクタ電流 (の対数) との間の回帰直線を求めました。 このうち、 の小さい部分は測定誤差が大きく、また、 の大きい部分は Q902 のベース電流による誤差が大きいと考えられるので、電流の最…
これまで「SX-150 用の温度補償回路」と呼んできましたが、もっとシンプルに「ベース結合アンチログ回路」と呼ぶことにします。 やっと、ベース結合アンチログ回路の特性を測定しました。 今日の記事では結果のグラフを示すだけとし、詳しい解析は次回以降の…
回路をブレッドボードに組んで、動作を確認してみました。 ただし、手持ちの TEMPCO (温度補償抵抗) は 1 kΩ のものしかないので、R901、R5 はそれぞれ 1 kΩ、15 kΩ に変更してあります。 詳しく測定はしなかったので、精度の面については分かりませんが、回…
回路シミュレーションには、無償で利用できる Linear Technology 社の「LTSpice/SwCAD III」を利用しています。 公開されている SX-150 の (定数入り) 回路図では、NPN トランジスタは 2SC1815 を使っているように記されていますが、実際の回路ではチップト…
学研「大人の科学マガジン」別冊「シンセサイザー・クロニクル」の付録アナログシンセ 「SX-150」VCO 部の温度補償回路を考えてみました。 とは言っても、私は SX-150 は持っていないので、LTSpice でのシミュレーションと、 SX-150 類似の回路を組んでの実…
リワインド方式のリニア VCO 回路の構成要素として、2007 年 12 月 27 日の記事(→こちら)では、 コンパレータ ワンショット回路 オン/オフ可能な定電流源 OP アンプ積分回路 をあげましたが、今回の回路では、前の3つを HCMOS ロジックのモノマルチ(とR/C/D…
波形写真の最後は問題の LM358 の場合です。 まず、出力に負荷抵抗をつけない状態の写真です。
OP アンプを差し替えて波形を観測した写真の続きです。 OP アンプの高域特性が悪いために「ツノ」が生じると述べてきましたが、高域特性の良いビデオ信号用 OP アンプを使うとどうなるかを次に示します。 下の写真は CMOS OP アンプで現在は廃品種の MC14577…
リワインド方式のリニア VCO 回路の積分器に使っている OP アンプを、手持ちの何種類かに差し替えて波形を観測した写真を掲載します。 自動化、精密化した測定方法については、まだ実現していないので、特性の測定は行っていません。
アナログシンセ回路の話題としては数ヶ月ぶりになりますが、急に思い立って、リワインド方式のリニア VCO 回路の実験をしてみました。 実験回路を下に示します。
これまでは、純アナログ的に連続時間で PTAT スケーリングをする話でしたが、今度は PWM で時間平均としてスケーリングする方法です。
またまた、ちょっと脱線します。 「ikuro」さんの web サイトのコラムに興味深い記事がありました。 それは、2 を底とする指数関数の近似式で、1743 年にシュトレーレが発見したというものです。
OTA の話が出たついでに、少し VCA に寄り道します。 LTspice で LM13700 のリニアライジング・ダイオードを使った場合と、使わなかった場合の特性をシミュレーションしてみました。
OTA を乗算器的に使う方法の続きです。 特性を実現できれば、と言いましたが、それ自体は簡単なことです。 差動トランジスタ対の差動電圧入力と差動電流出力との関係が になるわけですから、入力と出力を逆にして、差動電流入力、差動電圧出力が実現できれば…
次は、OTA (Operational Transconductance Amplifier) を乗算器的に使う方法です。 もともと OTA 自体に、差動入力信号とバイアス電流との乗算機能は備わっていますが、裸の作動増幅器の入力特性としては、良好な直線性を持つのは ±10 mV 程度に過ぎません。
アンチログ回路入力の絶対温度 () スケーリングの話に戻ります。 純粋にアナログ的手段による方法として、 ギルバート・セル型アナログ乗算器 (4象限) ログ-アンチログ型アナログ乗算器 (2象限) OTA を乗算器的に使う を取り上げます。 また、ディジタル的…
今度は Exar 社のリニア VCO チップ XR-2209 です。 三角波と方形波を出力できます。 「RJB」さんの Blog を見て初めて知りました。 例によって、私はこのチップを見たことも、使ったこともないので、データシートをネタに話を進めます。
前回のバイポーラ・トランジスタによる VCM の基本回路は、わずかトランジスタ2個 (カレントミラーを含めると5個) で、 状態保持のフリップフロップ コンパレータ 電流スイッチ の機能を実現しています。 しかし、精度、動作周波数、周波数レンジなどの点…
次は、違うタイプの電流反転方式です。 今まで説明してきたタイプでは、タイミング・コンデンサの一端は接地され、他方の端子にソース電流とシンク電流とを交互に流して三角波を発生させるものでした。 このタイプでは、コンデンサに常に正の電圧が掛かるよ…
次は Curtis Electromusic Specialties 社のアナログシンセ用 VCO チップ CEM3340 を取り上げます。(廃品種) とは言っても、私はこのチップを見たことも使ったこともありません。 データシートのブロックダイアグラムをネタに話を進めます。