dsPIC33FJ64GP802 (22) --- 周波数シフター (6)

 前回と同様に、"Table of Integrals, Series, and Products" から引用した式を示します。
 まず、方形波の場合です。

\hspace{-2em}\displaystyle
  \begin{align}
    \sum_{k\;=\;1}^\infty \frac{\sin(2k-1)x}{2k - 1} &= \frac{\pi}{4}\,\mathrm{sign}\  x  &
      [-\pi < x < \pi ] 
      \tag{1.442-1.} \\
    \mathstrut \\  
    \sum_{k\;=\;1}^\infty \frac{\cos(2k-1)x}{2k - 1} &= \frac{1}{2}\,\ln \cot \frac{x}{2}  &
      [0 < x < \pi ] 
      \tag{1.442-2.}
  \end{align}

 1.442-1. 式の右辺の「\mathrm{sign}\  x」は、

  • ( x < 0) なら -1
  • ( x = 0) なら 0
  • ( x > 0) なら +1

を返す関数です。
 1.442-1. 式の右辺の関数のグラフは次のようになります。

 原点 (0, 0) に関して奇対称 (奇関数) になるように配置した方形波です。 奇関数なので、フーリエ展開のコサイン成分はすべてゼロになり、サイン成分のみで構成されます。
 そのフーリエ展開である 1.442-1. 式の左辺の各項の係数をそのままに、サイン関数からコサイン関数に置き換えたものが 1.442-2. 式です。
 1.442-2. 式の右辺の関数をプロットすると下のようになります。

 方形波を違う配置にした場合の式を次に示します。


\hspace{-5em}
  \displaystyle
    \sum_{k\;=\;1}^\infty (-1)^{k-1}\frac{\sin (2k-1) x}{2k-1} = \frac{1}{2}\ln\tan\left(\frac{\pi}{4}+\frac{x}{2}\right) 
      \qquad 
      [-\pi < x < \pi ] \tag{1.442-3.}

\hspace{-5em}
  \displaystyle
    \sum_{k\;=\;1}^\infty (-1)^{k-1}\frac{\cos (2k-1) x}{2k-1} = 
      \begin{cases}\displaystyle \ \frac{\pi}{4} &  [-\frac{\pi}{2} < x < \frac{\pi}{2} ] \\
                           \mathstrut \\ 
                           \displaystyle -\frac{\pi}{4} & [\frac{\pi}{2} < x < \frac{3\pi}{2} ]
      \end{cases}
      \tag{1.442-4.}

 1.442-4. 式の方形波の配置を示すグラフを下に示します。

 原点 (0, 0) に対して偶対称 (偶関数) になるような配置です。 偶関数なのでフーリエ展開のサイン成分はすべてゼロとなり、コサイン成分のみが残ります。
 1.442-4. 式の左辺の展開係数はそのままに、コサイン関数からサイン関数に置き換えたものが 1.442-3. 式です。
 1.442-3. 式の右辺の関数のグラフを下に示します。

 この 1.442-3. 式の右辺の関数、および 1.442-2. 式の右辺の関数は「グーデルマン関数 (Gudermannian function)」の逆関数と関連しています。
 グーデルマン関数というと馴染みがない感じですが、実は、1 次 RC (LC) 回路の位相特性のグラフとして良く目にしています。
 次回は、そのあたりを説明します。