Gilbert Sine Shaper (10)
「誤差関数」(error function) と言っても、統一された定義というものは存在していないので、使用する場面に応じて定義を確認しておくことが必要です。
級数の数値計算プログラムに使っている C 言語 (libm ライブラリ) での定義は、
となっており、正の x に対して erf(x) は 0 から 1 の間の値を取ります。
関数の値のレンジは目的に合っているのですが、x=0 での傾きは となっており、これを tanh(x) の x=0 での傾き 1 に合わせるために、 として使用しています。
一方、「岩波 数学公式」での定義は次のようになっています。 (III巻、§6、pp.21)
幸いなことに、C言語の関数 erf は全部小文字、数学公式の Erf は最初が大文字となっているので、これで区別します。
したがって、両者の間の関係は、
となります。
必要なのは erf 関数の(逆)フーリエ変換ですから、数学公式から探すと、II巻、§7、pp.30 にフーリエ変換の形になる定積分の表に
という関係が記載されています。 (実際は、被積分関数と定積分値の表になっているものを式の形に表しました。)
この式の左辺に Erfc と erf の関係を代入して計算を進めると、
これが右辺と等しいわけですから、
したがって、
となります。 これをもとにフーリエ正弦変換 を計算します。
II巻、§51、pp.261 では、
のように定義されています。 と置けば、前の結果より、
となります。 これが erf(x) のフーリエ正弦変換ですが、求めたいのは の(逆)フーリエ変換ですから、 の係数の逆数をフーリエ変換後の関数の引数および全体の係数としてやればよく、
となります。
の(逆)フーリエ変換の実部(余弦変換)はゼロで純虚数になりますから、正弦変換の結果に「逆」フーリエ変換に対応するマイナス符号を付けた を掛けて、
と表されます。
これを の級数の式に代入して、
となります。
さらに、 を代入して、具体的な回路の電圧の入った式にすると、
と表されます。
以下、次回に続きます。