Gilbert Sine Shaper (6)
最後に残ったのは tanh 関数の(逆)フーリエ変換を求めることですが、当然、自力では計算できないので、公式に頼ることになります。
「岩波 数学公式」II 巻、§53、pp.278 に双曲線関数のフーリエ変換の表が載っています。
その最初の行が、
であり、フーリエ変換後に tanh が現れる式となっています。
つまり、tanh 関数の「逆フーリエ変換」が cosech 関数になるということです。
この公式を利用するために、ポアソンの和公式で「逆」フーリエ変換の値を使うような形の式を選択したのです。
必要なのは の逆フーリエ変換ですから、上の公式の tanh 関数の係数が 1 になるように調整すると、
となります。 さらに、 と選べば、tanh 関数の引数が だけになります。
ここでは公式の記法にしたがっているので、逆フーリエ変換の結果も と表記されていてまぎらわしいのですが、前回求めたポアソンの和公式を使って で表現した式に、この計算結果の を代入すると、
となり、これが求める結果です。
双曲線関数のフーリエ変換の公式の表では、フーリエ変換「される」関数の側に tanh 関数そのものの式はありませんが、一番近いのが に対する (II 巻、§53、pp.278)
で、 の制約を外れますが、形式的に とおけば となります。 こちらを使って計算を進めても同様の結果が得られますが、それについては省略します。