3V単一電源動作の VCF (3) - ブレッドボード(1)

ブレッドボード上に実験回路を組んでみて、一応の動作を確認しました。
実験している回路図はこちら (→) です。
ブレッドボード上の面積の節約のため、差動増幅部には、低電圧オーディオ・パワーアンプ IC である LM386 を使用しました。
ノイズの問題などから、実用には向きませんが、オシロで波形を観察する程度の用途には十分です。
この IC は、差動入力を持ち、ゲインは外部接続なしの状態で 20 倍に設定されています。
Minimoog の VCF の差動増幅部のオーディオ出力部のゲインは約 100 倍ですが、フィルタに負帰還をかけるパスへの出力はゲインが下げてあって、約 20 倍ですから、ぴったりです。
さらに、差動入力は約 50 kΩ で GND に内部でプルダウンされているので、入力側には AC カットのためのコンデンサを接続するだけですみます。
電源電圧は 4 V 以上となっていますが、3 V 電源で動作させてみると、一応の動作はします。
オシロで波形を見て、ひずみが目立つようになる出力レベルは約 1 Vp-p、クリップされるレベルが 1.8 Vp-p 程度です。
ひずみの出方は、通常の差動増幅器とは違って、「きたない」感じですが、レゾナンスを上げると発振はしました。
発振は不安定になることはありませんが、低域で振幅が小さく、高域で振幅が大きくなります。
回路図で点線で囲ってあるトランジスタのペアは、マッチングが良く取れている必要があります。
Q1, Q2, Q3, Q4, Q5 は NPN トランジスタアレイの TD62507P を使い、Q8, Q10 および Q9, Q11 には PNP トランジスタ 2 素子入りの表面実装型デバイスである 2SA1618 を使いました。
ちなみに、TD62507P はマルツで単価 120 円、サトー電気で単価 95 円、そして鈴商では Web 上には載っていませんが店頭には在庫があって単価 50 円です。 ただし、リードのハンダメッキが酸化しています。
2SA1618 はサトー電気で 10 個 231 円です。
その他のトランジスタディスクリートの 2SA1015 と 2SC1815 を使いました。
LM386 から Q5 にフィードバックをかけるパスのコンデンサはノンポーラ・タイプか、通常の有極性タイプを無極性接続したものを使ってください。
Q5 のベース電位は 1.5 V で、LM386 の出力も約 1.5 V にバイアスされるはずなので、実際にどちら側がプラスになるのか確定しないためです。
当初 LM386 の入力の AC カットのためのコンデンサに 1 μF 程度を使用していたのですが、トランジスタ・ラダーのバランスが少し崩れていて、指でポリウムを回す程度の速度の CV の変動に対しても、出力波形がユサユサ揺れるのが観測されました。
そこで容量を減らして、 0.1 μF 程度にすると、あまりレベル変動は目立たなくなりました。
どこでバランスが崩れているのかを追求して、改善したいと思います。
3 V 電源は、5 V 電源から電圧可変3端子レギュレータの NJM317 を使用して供給しており、電圧を可変できるようにしてあります。
供給電圧を下げてみると、約 2.8 V までは正常に動作しました。
波形写真などは、後の記事で載せるつもりです。