PIC18F14K50 (14)

トランジスタを 3 個使用するベース結合アンチログ回路で、Q1 と Q2 はマッチングが取れている必要がありますから、同種のトランジスタを使わなければなりません。
そんなわけで、少なくとも 1 個スーバーベータトランジスタを使う組み合わせは、

Q1 Q2 Q3
組み合わせ 1 ノーマル ノーマル スーパーβ
組み合わせ 2 スーパーβ スーパーβ ノーマル
組み合わせ 2 スーパーβ スーパーβ スーパーβ

の 3 通りとなります。
今回は、「組み合わせ 2 」の Q1, Q2 にスーバーベータ、Q3 にノーマルのトランジスタを使う構成の測定を行います。 Q3 には hFE = 250 程度の 2SC1815-GR を使いました。
「組み合わせ 3 」の、すべてがスーパーベータトランジスタの場合には、結果の hFE が高すぎることによる、何らかのトラブルが発生する可能性が予測されますが、今回の「組み合わせ 2 」の場合でも、すでに問題が発生しました。
それは、Q2 のコレクタ・ベース間の容量によりフィードバックがかかり、のこぎり波の波形が変形し、リニアリティが悪くなることです。
波形の写真を下に示します。

下のトレース (CH2, 1 V/div) が Q2 のコレクタ、つまりタイミング・コンデンサの一端での、のこぎり波の波形です。
周波数は約 25 kHz です。
上のトレース (CH1, 100 mV/div) が、
Q2 のベース = Q1 のベース = Q3 のエミッタ
の波形です。
のこぎり波の振幅は約 4 VP-P あり、リセット期間には急速に上昇するので、コレクタ・ベース間の容量を介してベース側に影響を与えます。
スーパーベータトランジスタでは、hFE が高いため、ベース電流の値は小さく、比較的高インピーダンスの状態となりますから、容量によるカップリングの影響が大きく出ることになります。
上のトレースのベース波形を見ると、リセット期間に上向きのパルスが生じていることが分かります。
これがリセット期間内にとどまっていれば問題ありませんが、ベース波形では、約 20 μs 程度に渡って波形の乱れが生じて、コレクタ波形である、のこぎり波の波形に変形が及んでいます。
この波形の乱れは、低い周波数では小さく、高い周波数で大きくなるので、リニアリティが悪化します。
この問題の解決には、

  1. アンチログ出力電流を直接に積分する方式ではなく、OP アンプの積分器を使用する、
  2. (通常トランジスタの) カスコード段を追加する。

などの方法をとるのが望ましいのですが、回路の変更が必要になります。
1. の方法では、OP アンプのヴァーチャル・ショートの作用により、コレクタ電圧が一定値に押さえられますから、ベース側への飛び込みは少なくなります。
2. も同様に、カスコード・トランジスタのエミッタ電位でコレクタ電位が規定されるのでベース側への影響は少なくなります。

ここでは、回路の大きな変更をせずに、左の回路図のように、対症療法的にベース・グラウンド間にコンデンサを接続してベース電圧の変動をおさえることにしました。
この容量は、102 (1000 pF) 程度では十分ではなく、波形の乱れが残りますが、103 (0.01 μF) 程度にすると、ほぼ乱れはなくなりました。
その状態で測定したのが下の結果です。

赤い線が連続 4 回の測定結果のプロットで、CV = 0 V 付近でプラス方向に誤差が大きくなっていますが、この原因については良く分かりません。
青い線はリセット時間換算で 1 μs に相当する誤差のグラフです。
実際のリセット時間の設定も 1 μs ですから、これは、ベース電流に原因する誤差がほとんどないことを示しています。
リセット時間 T = 1 μs に対応する Franco の補償の抵抗の計算値は約 45 Ω となりますが、少し大きめの 68 Ω を使った場合の結果を下に示します。

CV = 0V 付近を除いた全域でかなり良く補償されていて、平均的な傾向としては ±10 セント程度、細かい測定誤差を含めば +20 〜 -30 セント程度の誤差におさまっています。