ノートンアンプによる OVCE タイプの VCA (1)

SSM2164 (V2164) や SSM2018 などの OVCE (Frey Operational Voltage Controlled Element) タイプの VCA 回路をディスクリート部品で組むと大がかりになります。
そこで、ノートン (Norton) アンプ (LM3900) を利用して回路を簡略化し、5 V 単電源で使える回路を構成する実験をしています。
ブレッドボード上に下の図のような回路を組みました。

OVCE ゲインセルには 1 パッケージに PNP トランジスタが 2 個封入されている 2SA1618 を 2 パッケージ使いました。
カレントミラーでコレクタ電流の差を求める部分に、ノートンアンプである LM3900 の入力部分を使いました。 実際には、NS の LM3900 ではなく、以前に秋月で購入した JRC 製の NJM3900 を使っています。
電源電圧は 5 V で、ゲインセルのベース電位にはシャントレギュレータの TL431 で生成した 2.5 V を供給し、ゲインコントロールの CV 入力は 0 〜 2.5 V とします。
CV 入力をオープンにするか、2.5 V を加えた場合が最大のゲイン 0 dB となり、それから CV 電圧を下げるとゲインが下がり、CV = 0 V で計算上は約 -100 dB になります。
WaveGene / WaveSpectra を使い、TSP (Time Stretched Pulse) 法 で周波数特性を測定した結果を下に示します。

サウンド入力のサンプリング周波数は 96 kHz で、周波数特性が 20 kHz 程度から減衰しているのは、ここで使用している TSP 信号自体の特性です。
一番上の黒い線が最大ゲイン 0 dB の場合で、まんなかの赤い線が -30 dB 程度のゲインに調節した場合で、一番下の青い線が -60 dB 程度のゲインに調節した場合です。
-60 dB での結果では、50 Hz の電源ハム成分と高域でのノイズレベルの上昇が見られます。
無信号時のノイズフロアは -70 〜 -80 dB 程度で、出力信号レベルがその程度になるとノイズに埋もれてグラフ上では区別がつかなくなります。
出力信号を実際に音として聞くと、ゲイン最小の場合でも絞りきれず、無音にはなりませんでした。
ブレッドボードなので、ピン間のストレー容量が大きいことが影響しているかも知れません。