PIC18F14K50 (15)

今回は、「組み合わせ 3 」の Q1, Q2, Q3 すべてをスーバーベータトランジスタにした場合の測定を行います。 Q3 の hFE は 1800 程度です。
測定結果のグラフを下に示します。

ちょっと上に湾曲しているのが気になりますが、前回と同じような傾向で、大電流領域の誤差はリセット時間換算で 1 μs 程度です。
コンデンサも、前回と同様の 103 (0.01 μF) 程度で波形のアバレをおさえられました。
Franco の補償の抵抗として 47 Ω を使った場合の結果を下に示します。

CV = 0V 付近でプラス側に誤差が大きくなる現象の原因が分かりました。
それは、低電流領域、たとえば Q2 のコレクタ電流が 1 μA に対して hFE = 1900 ではベース電流は
    1 [μA] / 1900 = 0.53 [nA]
と極めて小さくなり、ベース・エミッタ間に接続したコンデンサ電荷の充放電の速度が遅くなるのが原因です。
測定は CV = 0V から順に最大値まで上げていき、一回分の測定が終わったら、次の回の測定は、また電流を最小値に設定して繰り返すようになっています。
したがって、前回の測定の最後で電流値を最大に設定した直後に、新たな測定での最小電流の測定が続くことになります。
最大電流での測定時に溜まったコンデンサ電荷は、すぐには抜けきらず、その影響が残って、低電流領域でのプラス側の誤差となって現れます。
上のグラフを見ると、CV = 0V で -15 セント程度の誤差から出発するラインと、図では範囲外になっていますが、+80 セント程度の誤差から出発するラインの 2 グループあることが分かると思います。
-15 セントから出発しているのは、電源投入直後の最初の測定の結果で、当然コンデンサ電荷は溜まっていませんからプラス側の誤差にはなっていません。
+80 セントから出発しているのは、2, 3, 4 回目の測定で、前回の測定で溜まったコンデンサ電荷の影響によるプラス側の誤差が生じています。