PX-150 (7)

だいぶ間があいてしまいましたが、各種の OP アンプを差し替えてリニア VCO の特性を測定してみました。
測定回路を下に示します。

OP アンプの入力端子間のバーチャル・ショートの性質を活かした、抵抗1本で定電流を得る回路となっています。
その抵抗をロータリー・スイッチで切り替え、VCO の入力電流を約 0.5 μA から約 500 μA まで変化させ、のこぎり波出力の発振周期を周波数カウンタで測定しています。
当然、OP アンプが正常動作していない「ツノ」の部分では定電流になることは期待できませんから、精密な測定ではありません。
電流値は、事前に測定しておいた抵抗の実測値から計算で求めており、回路中の電流値は直接に測定はしていません。
抵抗値は、4.7 MΩ から 10 kΩ までは、10 - 22 - 47 の刻みで変化させ、最も電流の多い部分だけ 10 kΩ ・ 7.5 kΩ ・ 6.2 kΩ ・ 4.7 kΩ という系列にしています。
積分器出力のプルアップと、コンパレータ出力のプルダウンは NJM2904 の測定の場合のみ実装しており、その他の OP アンプの測定ではプルアップ/プルダウンはしていません。
まずは、リニアスケールで表示した、入力電流と発振周波数の測定結果のグラフを示します。

いずれのグラフも高域で曲がっていますが、MC14577、LMV358、LMC662 の3本については同じような傾向を持ち、曲がりの程度は小さくなっています。
これは、後で示しますが、誤差のほぼ全量がリセット時間に起因するものです。
それに比べ、NJM2100、NJM2904 (プルアップ/プルダウンあり/なし) は曲がりが大きく、特に NJM2904 は高域になるとかえって周波数が下がっています。
これは、リセット時間の誤差の他に、のこぎり波の波形自体が変形するために生じる誤差のためです。
コンパレータとして使っている OP アンプの応答が遅いために、

  • のこぎり波が上側のスレシホールドを越える
  • コンパレータが反転
  • リセット電流が流れ出す

というプロセスに時間がかかり、その間も積分器は入力電流の積分を続けているため出力電圧も上昇し、入力電流の大きい部分では最大出力電圧 V_{\rm OH} に達してクリップしてしまって、のこぎり波の頭が削られたような波形になるためです。
下に、ログスケールで表示した、入力電流と発振周波数の測定結果のグラフを示します。

グラフが近接していて分かりにくいのですが、NJM2100 は低電流の領域で周波数が低下していることが分かります。
これは、入力バイアス電流の影響と思われます。
次回は、直線性誤差のグラフについて述べたいと思います。