PX-150 (6)

最後は LM358/LM324/LM2904/LM2902 の系統の OP アンプのグループです。
JRC 製、NS 製、MOTOROLA 製、NEC 製の LM2904/LM358 の波形写真を示します。
NJM2904 (JRC)
LM358 (NS)
LM358 (MOTOROLA)
μPC358 (NEC)
メーカーによりスルーレートの違いはありますが、全体的には同じ傾向の波形です。
スルーレート値がスペックに明記されているのは NJM2904 だけで、標準 0.5 V/μs となっています。
μPC358 はスペックに規定はありませんが、各種 OP アンプの特性を比較するための一覧表にはスルーレートの標準値が 0.3 V/μs と記載されています。
のこぎり波 (積分器出力) の「ツノ」は、リワインド方式 VCO の実験の記事で説明したように、LM358 の出力トランジスタが切り替わる際のクロスオーバー歪みによるものです。
コンパレータとして使っている OP アンプ出力波形が乱れているのも同様に、クロスオーバー歪みによるものです。
のこぎり波出力の「ツノ」の部分は OP アンプとしての正常動作から外れる部分なので、入力端子間のバーチャル・ショートが成立せず、常にアナログコモン電圧であるべきマイナス入力端子の電圧にも「ツノ」が生えたような形になります。
積分器のマイナス入力は、アンチログ出力トランジスタのコレクタと接続されていますから、下向きの「ツノ」があまり大きいとアンチログ出力トランジスタを飽和させ、悪影響が出る可能性があります。
波形写真からは下向きの「ツノ」の大きさは 1 V 程度と読み取れますから、アンチログ出力トランジスタのコレクタ電位は最悪で 2.5 - 1 = 1.5 [V] となり、ベース電位約 0.7 V に比べて大きく、まだ余裕があります。
リワインド方式 VCO の実験と同様に、OP アンプ出力の PNP あるいは NPN トランジスタどちらか一方だけをA級動作させ、切り替わりが起こらないように、出力をプルアップ/プルダウンしてみました。

積分器については、出力電流が最大になるのはリセット期間のシンク電流約 1.8 mA ですから、常に PNP エミッタフォロアだけがA級動作するように 1.8 kΩ の抵抗で Vcc にプルアップしました。
コンパレータについては、出力電流が最大になるのはリセット期間のソース電流約 1.8 mA ですから、常に NPN エミッタフォロアだけがA級動作するように 1.8 kΩ の抵抗で GND にプルダウンしました。
NJM2904 での波形写真を下に示します。
NJM2904 (JRC) (プルアップ/プルダウン付き)
スルーレートが小さくて、スピードが遅いというだけで、波形はきれいになりました。
ただし、A級動作させているので消費電流は増えています。