アナログシンセの VCO ブロック(1) -- 構成

ごく一般的な V/Oct タイプの CV の VCO の構成図を(→こちら)に示します。
VCO ブロックは、次の3つの部分から構成されています。

  • (A) -- CV 入力の加算アンプ
  • (B) -- アンチログアンプ (電流出力)
  • (C) -- リニア VCO (電流入力)

この回路構成は良く考えられていて、無駄がなく、なおかつ高性能です。
まず、(B) のアンチログ回路は、バイポーラトランジスタ
V_{\small{\rm BE}}I_{\small{\rm C}} との関係が指数関数になることを利用しているので、電圧入力、電流出力となるのが自然です。
一方、(C) の (リニア) VCO には様々な実現方法がありますが、一般に使われているのは、コンデンサの充電電流を変化させて周波数を可変する形式です。
VCO (Voltage Controlled Oscillator)という名前の通りに電圧で制御するためには電圧電流変換回路が必要になりますが、好都合なことに、アンチログ回路は電流出力なので、変換回路は不要で、直結できます。
リニア VCO の出力周波数は MIDI ノート 0 から 127 のレンジでは、約 8 Hz から約 13 kHz までの範囲となります。言い換えると、約 10.7 オクターブ、あるいは約 64 dB のダイナミックレンジとなります。
この広い周波数レンジにリニアに対応する入力値を電圧で受け渡しすると、低い周波数で OP アンプのオフセット電圧が無視できなくなり、高性能で高価な OP アンプが必要になったり、調整箇所が増えたりします。
一方、電流で受け渡しすると、やはり、低い周波数の側で漏れ電流が問題になりますが、特に高性能ではないデバイスでも、その値は十分低く抑えることができるので有利です。
このリニア VCO 部の回路形式によって、それぞれ違った特徴のある音がするそうですが、私にはわかりません。