4 次 VCF CEM3320/V3320 (23) --- CV 漏れ補正 (2)

 今回は、ゲインセル 2 段を直結したものが 2 組 、つまり、

  • (ステージ 1) → (ステージ 2)
  • (ステージ 3) → (ステージ 4)

となる構成での測定です。
 下に CEM3320/V3320 側の回路を示します。 ステージ間の接続を主に表現しており、電源まわりや CV まわりは省略しています。 Arduino 側の回路は変更ありません。


 13 番ピンから流れ出す電流 IEE が 5 mA の場合のグラフを下に示します。

 2 段直結の初段側のゲインセル出力 (BOUT1、BOUT3) と後段側のゲインセル出力 (BOUT2、BOUT4) とでは、明らかに応答が違っています。
 初段側のゲインセルには他のゲインセルの影響はないため、4 つのゲインセルが独立の場合と同じ、CV の大きい領域で DC 動作点の電圧が大きく下がる応答になっています。
 2 段直結の後段側のゲインセル出力 (BOUT2、BOUT4) では、「未調整」にもかかわらずフラットに近い特性になっています。
 これは、まず前提条件としてゲインセルはカットオフ周波数より十分低い周波数領域ではゲイン -1 の反転増幅器と見なすことができます。
 そして、後段自体の特性による出力変化への寄与と、前段からの入力 (を反転増幅したもの) による寄与とが、絶対値がほぼ等しく極性のみ異なる値となり、互いに打ち消しあう状態となるためです。
 (BOUT1) → (BOUT2) の組の BOUT2 (青色のトレース) をなるべくフラットになるように調整した IEE = 11.9 mA の場合のグラフを下に示します。

 2 段直結の各段の特性は完全に同一ではないのに調整可能なパラメタはひとつしかないので、前回のゲインセル単独の場合に比べて補正しきれていません。
 IEE = 13 mA の場合のグラフを下に示します。


 すべての出力で CV の大きい領域で DC 動作点電圧が上がっており、2 段直結の後段側 (BOUT2、BOUT4) での「キャンセル効果」があまり表れていません。
 前段からの寄与が CV 漏れキャンセル回路の効果によってオーバーライドされているのかも知れません。