3.3 V ノイズジェネレータ (4)
今回は、左の図のようなラグ・リード・フィルタで、中心周波数付近でゲインのスロープが -3 dB/oct (-10 dB/dec) になる条件を求めてみます。
まず、時定数を
とすると、この回路の伝達関数は、
と表されます。
虚数単位を 、角周波数を として、 と置き、伝達関数の絶対値2乗を求めると、
となります。
最後の式で を使った形に変形してあるのは、後での計算の都合によるものです。
ここで、コンデンサの値 C は、規準化素子値として と置き、実際に使う (角) 周波数へは「周波数スケーリング」によって変換するものとします。
したがって、時定数 、 と表記でき、式からは表面上 が消えます。
また、 として と の間に
の関係を仮定します。
これは、中心角周波数を 1 [rad/s] に設定する操作であり、こうしても一般性を損ないません。
は
で求まり、絶対値2乗の式から の表記を消すことができます。
これらの条件のもとで絶対値2乗の式を書き直すと、
となります。
(角) 周波数特性を対数目盛りのグラフで描くことを考え、(角) 周波数軸 (x 軸) 上の原点からのリニアな座標位置を で表現して、角周波数 を
で表記します。 ここで、 は自然対数 を表すものとします。
いくつかの の値について の値を示すと、
となります。 が 1 増えれば は 10 倍に、つまり 1 ディケード変化します。
ここで、 を含む項について計算しておきます。
これを絶対値2乗の式に代入すると、
となります。 ここで、 は双曲線余弦 (hyperbolic cosine) 関数で、
で定義されます。
さらに、ゲインを dB 単位で表示するために、絶対値2乗の式の常用対数を取ります。
常用対数を取ったあとにかける係数は、絶対値2乗なので「20」ではなく「10」であることに注意して、ゲインを と表すことにすると、
ここまで、ちょっと長かったですが、これで準備が整いました。
このゲインの式を で微分して勾配を求めると、その数値の単位は [dB/dec] になります。
なぜなら、 の単位長さ当たり角周波数は 10 倍、つまり 1 ディケード変化するので、分母側のディメンションは「dec」になり、ゲインは dB 単位で表示していますから、当然、分子側のディメンションは「dB」になります。
したがって、 を で微分した微係数 と置けば、ゲインの勾配が -10 dB/dec (-3 dB/oct) になる条件を求めることができます。
まず、ゲインの式を で微分すると、
となります。
中心角周波数 、つまり の点での勾配は、
であり、これを -10 と等しいと置けば、
となります。 arctanh の公式から、
と表されるので、
となります。 さらに、
となり、これが -3 dB/oct (-10 dB/dec) のスロープとなる条件です。