MIDI to CV (7) -- VCA / チャージポンプ

アンプのゲインが CV 入力に比例する、リニア VCA 部の回路図を下に示します。
VCA の本体は、Operational Transconductance Amplifier (OTA) の LM13700 を使っています。

+5 V 単一電源で動作させていますから、ウィルソン型カレントミラーを使っている OTA のアンプ・バイアス入力 (16 番ピン) の電位は 2×Vbe となり、CV 入力の最低値である 0 V を上回ってしまいます。
そのため、LM13700 内蔵のダーリントントランジスタを使い、 2×Vbe 分のオフセットを作り出し、これでアンプ・バイアス入力の電位をキャンセルする回路を構成しています。
具体的には、OP アンプとダーリントン・エミッタフォロアによるループで、
CV IN = LM2902 の 10 番ピン = LM13700 の 9 番ピン
となるフィードバックがかかります。
OP アンプ出力 (8 番ピン) はダーリントントランジスタのベースに接続されていますから、エミッタの電位に 2×Vbe を足した電位となっています。
CV 入力がゼロの場合でも、8 番ピンの電圧は 2×Vbe になります。
したがって、 R16 を流れる電流と、R20 を流れる電流 (= OTA のバイアス電流) が等しくなることが期待されます。
実際には、OTA のカレントミラーのトランジスタと、ダーリントン・バッファのトランジスタのジオメトリは違いますから、 2×Vbe の値は、完全には等しくなりません。
また、使用している OP アンプの LM2902 (LM324、LM358 なども同様) の入出力特性により、+5 V 単一電源では、CV 入力として許容できるのが 0 〜 3 V 程度となります。
MIDI to CV のソフトウェア部分は、マイコンのFM音源プログラムに追加する形で実現しているので、利用できるエンベロープは多数あり、その内のひとつを DAC に書き込み、アナログ値のエンベロープ電圧として外部に出力しています。
出力しているのは、パート 0 のオペレータ 1 (キャリア側) のエンベロープです。
ADuC7026 の 12 ビット DAC は、フルスケールで 2.5 V 程度ですから、電圧レベル的には、ちょうど良いことになります。
大部分の回路は +5 V 単一電源で動作させていますが、スイッチト・キャパシタ・フィルタの MF10 にはマイナス電源が必要なので、CMOS インバータとショットキ・バリア・ダイオードを使った、反転型チャージ・ポンプ回路による、非安定化 -5 V 発生回路を組みました。
コンデンサは積層セラミックを使っています。

ダイオードの電圧降下により、-5 V は出ませんし*1、安定化もされていません。

*1:実測値 -4.46 V