MIDI to CV (6) -- SCF VCF (3)

CPU クロック VCO の制御電圧入力、つまりループフィルタ出力の波形を下に示します。
これば 74HC4046 の 10 ピンのソースフォロア出力を観測したものです。

細かいギザギザは、リファレンス周波数の 16 kHz の成分です。
少し振動的なステップ応答になっています。 時間軸は 500 us/div ですから、セトリング時間は 1.5 〜 2 ms 程度であることが分かります。
SCF クロックの変化の様子を見るために、SCF クロックを 10 進カウンタを2個使って 1/100 の周波数、つまり、SCF の中心周波数と同じ周波数としたものを録音し、wave ファイルを作りました。
VCO 部と同様にして、最低音 (C0) から最高音 (G10) までスイープした結果の後半部分のスペクトルの図を示します。

方形波なので、偶数次の高調波は存在していません。
VCO の時と同様に、オクターブの変わり目に、スペクトルでは縦線状に見えるノイズが入っていることが分かります。
大きなサイズの図は (→こちら ) です。
高調波のトレースが図の上部で折り返しているのは、周波数が高くなって、ナイキスト周波数をこえた部分がエイリアスとなってベースバンド帯域に現れたものです。
この、ノイズが生じている部分の SCF クロック (を 1/100 にしたもの) の時間波形を下に示します。

中央付近で乱れているのが分かります。
SCF のレゾナンスを上げて (入力信号はゼロで) 発振状態にした SCF 出力のスペクトルを下に示します。

ちょっと分かりにくいので、大きなサイズの図 (→こちら ) を見て頂いた方が良いと思います。
本来の理想的な発振は純粋な正弦波ですが、スペクトルに 2 次高調波が現れているのが分かります。
これは、回路的には DC バランスが取れておらず、ループ利得安定化のための差動増幅回路の非直線性が影響して、波形の正負が非対称になるためです。
この図は、他の図と違って、最低音 (約 8 Hz) からのスイープの全範囲を示してあります。
左端から中央付近まで、紫色のトレースが見えますが、これは SCF クロック自体が出力に現れたものです。
SCF 出力はサンプリング・レートでしか変化しませんから、このクロック成分は本質的なもので、単なる回路的なクロストークにより出力に漏れ出たものではありません。
中心周波数の 100 倍が SCF クロックですから、中心周波数 200 Hz の 100 倍の 20 kHz クロックまでは可聴周波数域に入ります。
本来は、SCF への入力部と、SCF からの出力部にアンチエイリアス・フィルタが必要ですが、ここでは、実験ということで、簡単のため省略してあります。
あと、気が付くのは、周波数の変化が、なめらかではなく、少し波打っていることです。
この原因は、良く分かりません。 オクターブの境界で SCF クロックが乱れることの影響か、トランジスタの差動増幅回路で構成したアナログ部の影響か、あるいは他の原因なのか、分かりません。
他の場合と同様に、オクターブの変わり目にノイズが出ます。
ノイズの発生場所付近の時間波形を下に示します。

CPLD 版のこぎり波 DCO、アナログ CV 版のこぎり波 VCO、そして SCF VCF の出力波形の wave ファイルは (→こちら) に置いてあります。