アナログシンセの VCO ブロック (6) -- リニア VCO 回路(1)

つづいては、アンチログ回路につながる (電流入力) のリニア VCO の回路方式についての話題です。
アナログシンセでは、コンデンサの充電電流で出力周波数を制御するタイプの VCO が使われます。 ここでは、それ以外のタイプ、たとえば、バリキャップ使用の LC 発振回路などは扱いません。
回路方式の分類について、検索して見たのですが、一般的な名称について情報が得られなかったので、適当な名前を付けてあります。 本当は、こういう言い方をするんだよ、という情報をお持ちの方は、お知らせ頂けるとありがたいです。
まず、タイミング・コンデンサの扱いによって2種に分類できます。


「直接積分型」とは、コンデンサの充電に OP アンプが関わっておらず、アンチログ回路のコレクタ出力と、電源との間にコンデンサが接続されているタイプです。(図A)
のこぎり波出力は高インピーダンスバッファを介して取り出します。 これは、OP アンプとは限らず、JFET のソースフォロア程度の場合もあります。
アンチログ出力のコレクタ電位は、コンデンサの充電にともなって変化します。 アンチログ回路の記事で述べたように、コレクタ損失の点では不利です。 カスコード接続にすれば、カスコード・トランジスタに損失の大部分を負担させることができます。
「OP アンプ積分回路型」とは、OP アンプによる積分回路、つまり、OP アンプの出力端子と、マイナス入力端子の間にコンデンサが接続され、マイナス入力端子にアンチログ電流出力が接続されている回路を使うタイプです。(図B) 
コンデンサの充電電流は OP アンプの出力から供給され、コンデンサを通り、アンチログ回路へ流れ込みます。
OP アンプ出力が、そのまま、のこぎり波出力として使われます。 マイナス入力端子は、バーチャル・グラウンドになっているので、そこにつながるアンチログ出力端子は 0 V が強制され、アンチログ回路のコレクタ損失は低く抑えられます。
さらに、これとは独立に、発振のメカニズムに注目すると、良く使われている回路方式は、次の3種に分類できます。

  • リセット方式
  • リワインド方式
  • 電流反転方式

「リセット方式」という呼び名は良く聞きますが、あとの2つは、私が適当に名付けたものです。
次回以降の記事で、それぞれ解説していきます。