4 次 VCF CEM3320/V3320 (14) --- 4 次 HPF (3)

 データシート記載の 4 次 HPF 回路を、負電源ピン付近を省略して書き直したものを下に示します。 (図をクリックすると拡大します。)  (2020 年 12 月 25 日: 回路図を追加しました。)

V3320_HPF4_small.png

 この回路の LTspice 記述 (通常電流版) を下に示します。


 AC 解析の結果の振幅特性のグラフを下に示します。


 赤色のトレースが FCIN = -18.2 mV (周波数最大、ゲインセル電流最大)、青色のトレースが FCIN = 0 mV です。 以降、18.2 mV ステップでプロットされており、茶色のトレースが FCIN = 163.8 mV (周波数最小、ゲインセル電流最小) に対応します。
 振幅が -80 dB 程度以下の領域で減衰スロープがゆるくなっており、期待される 24 dB/oct に達していません。 これは 10 倍電流版では改善されています。
 ピーク周波数をカーソル機能を使って読み取ると、FCIN = -18.2 mV で約 28.8 kHz となっています。 これと、「正しいフィードバック」でのシミュレーション結果の約 13 kHz との比を求めると、28.8 / 13 = 2.2 となります。
 理論的な伝達関数の計算で使用した RESO の値が 0.83 程度なのに対し、この (通常電流版) シミュレーションで使った値が 0.95 と約 15 % の差があるのは、トランジスタ電極間の容量 Cob の影響など回路的に劣化の原因があると考えられます。 10 倍電流版では RESO の値が 0.85 程度で同様の特性となり、伝達関数からの計算結果とほぼ一致します。
 全体的な傾向は同様で細部が異なるだけなので、10 倍電流版の掲載は省略します。