PSoC1 (4) --- スイッチトキャパシタ・フィルタ (4)

 オーバーサンプリング比 (OSR) = 100 の場合の回路を下に示します。 キャパシタの「値」は、SC ブロックのパラメタとして指定する数値 (整数値) を示しています。
 C1 は 0、あるいは 1 (通過域 ゲイン = 1 の場合) となります。
 CP および CPP は 0、あるいは 16 (通過域 ゲイン = 1 の場合) となります。

 ACB00 + ASC10 + ASD11 と配置した場合の図を下に示します。

 ASC10 の AMux 入力、および ASD11 の BMux 入力は ACB00 出力に接続されています。 図では示されていませんが、ASC10 の CMux 入力も ACB00 出力に接続されています。
 BQTAP 接続を活かすために、ASC と ASD とを横方向に配置しているので、それぞれの出力をバスに引き出すことができて、同時に 2 系統の出力が得られます。

 K0 = 1、K1 = 0、K2 = 0,、および Q = 8 (ピーク・ゲイン = 18 dB) と選んで、BPF / LPF 出力を得る場合のパラメタ設定値を下に示します。
 ASC10 のパラメタ (15 項目)

FCap 16
ClockPhase Norm
ASign Neg
ACap 1
ACMux ACB00
BCap 1
AnalogBus AnalogOutBus_0
CompBus Disable
AutoZero Off
CCap 0
ARefMux AGND
FSW1 On
FSW0 Off
BMux ASD11
Power High

 ASD11 のパラメタ (16 項目)

FCap 16
ClockPhase Norm
ASign Pos
ACap 1
AMux ASC10
BCap 0
AnalogBus AnalogOutBus_1
CompBus Disable
AutoZero Off
CCap 2
ARefMux AGND
FSW1 On
FSW0 Off
BSW Off
BMux ACB00
Power High

 WaveGene + WaveSpectra でリニア周波数スイープ + ピークホールドにより求めた周波数特性を次に示します。

 赤色のトレースが ASD 出力の LPF で、青色のトレースが ASC 出力の BPF です。
 20 kHz 以上の周波数でレベルが落ち込んでいるのは、48 kHz サンプリングの DA / AD のアンチ・エイリアス・フィルタによるものです。
 SCF のサンプリング・クロックは 24 [MHz] / 256 = 93.75 [kHz] と選んでいるので、カットオフ周波数 f0 = 93.75 [kHz] / 100.5 = 932.8 [Hz] となるはずですが、グラフのカーソルからピーク周波数を読み出すと 928 Hz となっています。 誤差は 0.5 % 程度となっています。
 LPF の DC ゲイン 0 dB をグラフの目盛りの -20 dB に合わせてあり、ピーク・ゲインが -2 dB 程度なので、-2 - (-20) [dB] = 18 [dB] となり、Q = 8 が実現されていることが分かります。
 K0 = 0、K1 = 1、K2 = 0 と選んで HPF / BPF 出力を得る場合のパラメタ設定を、キャパシタ値のみを示します。
 ASC10 のパラメタ (キャパシタ設定のみ)

ACap 0
BCap 1
CCap 16

 ASD11 のパラメタには変更はありません。
 測定結果を下に示します。

 赤色のトレースが ASD 出力の BPF で、青色のトレースが ASC 出力の HPF です。
 HPF 出力の約 100 Hz 以下の部分が盛り上がっているのは SCF 内部で発生しているノイズの影響です。
 K0 = 1、K1 = 0、K2 = 1,、および Q = 2 と選んで、ノッチ出力を得る場合のパラメタ設定値を下に示します。
 ASD11 のパラメタ (キャパシタ設定のみ)

ACap 1
BCap 16
CCap 2

 ASC10 のパラメタは BPF / LPF の場合と変わりありません。
 TSP (Time Stretched Pulse) 法で測定した WaveSpectra のグラフを下に示します。

 カーソル・リードアウトでは、ディップのレベルが約 -50 dB となっていますが、通過域ゲイン 0 dB を目盛りの -20 dB に合わせてあるので、正味のレベルは -50 -(-20) [dB] = -30 [dB] 程度です。