PSoC1 (3) --- スイッチトキャパシタ・フィルタ (3)
「フルスペック版」スイッチトキャパシタ回路を下に再掲します。
この回路図では、積分器のフィードバック・キャパシタの値を「1 F (ファラド)」とする、正規化された形で表現していますが、実際の FCap の値としては、標準値で約 80 fF (フェムト・ファラド) のキャパシタを単位 (CSC) として、その 16 倍あるいは 32 倍のいずれかを選択する形となっています。
ACap / BCap / CCap については、CSC の 0 倍 ~ 31 倍の 5 ビット整数値で表せる倍率を選択できるようになっています。
ここで、すべてのキャパシタの値を正規化された値から実際の値に戻すスケーリングを行うと、たとえば C2 については、
となります。
ここで、
- fs はサンプリング周波数 (スイッチング・クロック周波数)
- ω0 はカットオフ角周波数
- f0 はカットオフ周波数
- ふたつの FCap (CA、CB) は同じ値に選ぶ
とします。
CF = 16 · CSC および C2 = 1 · CSC と選ぶと、オーバーサンプリング比 (fS / f0) は、
となり、誤差 0.5 % を許容すれば、オーバーサンプリング比 100 とみなすことができます。
カットオフ周波数の調節をキャパシタの値の比をいじって決定するのではなく、サンプリング周波数を変えて決定する方式であれば、オーバーサンプリング比 100 に対しては何も難しいことを考えず、CA = CB = 16 · CSC、C1 = C2 = C3 = 1 · CSC と選べばよいことになります。 (C1 については K0 = 1 の場合)
これ以降は、キャパシタの値に対して、単位容量 CSC は省略して、倍数の整数値のみ記述することにします。
同様にして、C4 は、
となるので、CA = CB = 16 に対して、Q の値は、16/31 = 0.516 から 16/1 = 16 までの値を取れることが分かります。 (C4 = 0 を除く)
CP、CPP については、CA = CB = 16 に対して、K2、K1 の値として、0/16 = 0 から 31/16 = 1.9375 までの値を取れることになります。