PCM5102A (3)
PCM5102A DAC のインパルス応答を観測してみました。
まず、PCM5102A のデータシートに掲載されている 8 倍オーバーサンプリング・フィルタ (直線位相特性) のインパルス応答の図 (Figure 16.) を下に示します。
8 倍オーバーサンプリング・フィルタが選択されるように、(元の) サンプリング周波数を 48 kHz に選んだ場合のインパルス応答をオシロで観測した結果を下に示します。 (LPF を介さず、オーディオ出力を直接に見ています)
下側のトレースの矩形波は LRCK (WS) で、1 周期が 1 サンプリング周期の 1/48[kHz] = 20.833 [μs] になります。
ディジタル・データとして 8 倍オーバーサンプリングされてデルタ・シグマ・モジュレータに送られる段階で 0 次ホールドされているので、1 サンプリング周期が 8 段の「階段」で構成されることになります。
オシロのアベレージング機能を利用しているので、ノイズが平滑化され、比較的にはっきりと「階段」が見えています。
Figure 16. などのデータシートの図では、(オーバーサンプリングされた) サンプル点間を直線で結んで描画しているので、観測波形とは少し違って見えます。
ピーク付近を拡大して観測したものを下に示します。
データシートに記載されている 470 Ω と 2.2 nF による 1 次 LPF (カットオフ周波数 154 kHz) を通した後の波形を下に示します。
1 次 LPF の特性が直線位相ではないので左右非対称になっていますが、「階段」はかなり滑らかになっています。
PCM5102A のデータシートに掲載されている 4 倍オーバーサンプリング・フィルタ (直線位相特性) のインパルス応答の図 (Figure 19.) を下に示します。
4 倍オーバーサンプリング・フィルタが選択されるように、(元の) サンプリング周波数を 96 kHz に選んだ場合のインパルス応答をオシロで観測した結果を下に示します。
下側のトレースの矩形波は LRCK (WS) で、1 周期が 1 サンプリング周期の 1/96[kHz] = 10.417 [μs] になります。
4 倍オーバーサンプリングなので、1 サンプリング周期が 4 段の「階段」で構成されています。
直線補間で描画されたデータシートの図と、実際の波形の 0 次ホールドによる「カクカク」感にかなり差が出てきています。
ピーク付近を拡大して観測したものを下に示します。
PCM5102A のデータシートに掲載されている 2 倍オーバーサンプリング・フィルタ (直線位相特性) のインパルス応答の図 (Figure 22.) を下に示します。
2 倍オーバーサンプリング・フィルタが選択されるように、(元の) サンプリング周波数を 192 kHz に選んだ場合のインパルス応答をオシロで観測した結果を下に示します。
下側のトレースの矩形波は LRCK (WS) で、1 周期が 1 サンプリング周期の 1/192[kHz] = 5.208 [μs] になります。
2 倍オーバーサンプリングなので、1 サンプリング周期が 2 段の「階段」で構成されています。
2 倍オーバーサンプリング・フィルタとして、「ハーフバンド・フィルタ」が使われていると思われるので、ピーク位置を除き、半数の (オーバーサンプルされた) サンプルの値がゼロとなっています。
1 倍オーバーサンプリング、つまり補間フィルタなしが選択されるように、(元の) サンプリング周波数を 384 kHz に選んだ場合のインパルス応答をオシロで観測した結果を下に示します。[
下側のトレースの矩形波は LRCK (WS) で、1 周期が 1 サンプリング周期の 1/384[kHz] = 2.604 [μs] になります。
補間フィルタなし (素通し) なので、ディジタル入力データと同じインパルス波形の 1 サンプルだけ非ゼロの値でそれ以外はゼロという出力になっています。
フィルタなしなので、PCM5102A の FLT 端子によるフィルタ特性切り替えは意味を持たず、FLT = 0 でも FLT = 1 でも同じ結果になります。
PCM5102A のデータシートに掲載されている 8 倍オーバーサンプリング・フィルタ (低遅延特性) のインパルス応答の図 (Figure 25.) を下に示します。
8 倍オーバーサンプリング・フィルタが選択されるように、(元の) サンプリング周波数を 48 kHz に選んだ場合のインパルス応答をオシロで観測した結果を下に示します。
PCM5102A のデータシートに掲載されている 4 倍オーバーサンプリング・フィルタ (低遅延特性) のインパルス応答の図 (Figure 28.) を下に示します。
4 倍オーバーサンプリング・フィルタが選択されるように、(元の) サンプリング周波数を 96 kHz に選んだ場合のインパルス応答をオシロで観測した結果を下に示します。
PCM5102A のデータシートに掲載されている 2 倍オーバーサンプリング・フィルタ (低遅延特性) のインパルス応答の図 (Figure 31.) を下に示します。
2 倍オーバーサンプリング・フィルタが選択されるように、(元の) サンプリング周波数を 192 kHz に選んだ場合のインパルス応答をオシロで観測した結果を下に示します。
直線補間で描画されたデータシートの図と、実際の波形の 0 次ホールドによる「カクカク」感にかなり差が出てきています。