アナログシンセの VCO ブロック (54) -- マルチ出力アンチログ回路の測定 (4)

PWM CV マルチプレクサ + LPF + アンチログ出力トランジスタ部の回路図を下に示します。
LPF 部は OP アンプを 1 個使用した 3 次アクティブ・フィルタの構成になっています。 OP アンプは、ありあわせで MOSFET 入力の NJU7032 (JRC 製) を使用しています。
この LPF 出力のトランジェント特性 (ステップ応答) を観測しました。

LPF の設計のターゲットとしては、

  • リンギング、オーバーシュート等が発生しないように、ベッセル-トムソン特性とする
  • 20 kHz 程度以上に選ぶ PWM 周波数の成分は十分減衰させる
  • EG による変調に追従できるように立ち上がり時間は 1 ms 程度以下にする

ことを考慮しました。
LPF 出力波形の写真を下に示します。

ディジタル値である PWM CV として、

  • PWM 周波数は 16 [MHz] / 510 = 31.373 [kHz]
  • デューティー 0x40/0xFF および 0xC0/0xFF の 2 値を約 8 ms 周期で交互に繰り返す

方形波状の PWM 波 を発生させ、LPF 通過後のアナログ電圧で「ステップ応答」を見ています。
振幅方向には約 100 mVp-p となっています。
オーバーシュート/アンダーシュートは約 1 %、立ち上がり/立ち下がり時間 (10 % - 90 %) は 1 ms 以下となっており、設計通りの特性が得られました。
PWM 周波数を 16 [MHz] / (510 × 8) = 3.922 [kHz] に変更した場合の波形写真を下に示します。

ATmega168/328 の Timer2 のプリスケーラの制限により、タイマ・クロックとして CPU クロックの 1/2、1/4 は実現できず 1/8 に飛んで PWM 周波数としては約 3.9 kHz という低い値になっています。
PWM 周波数が低いので、LPF で減衰しきれず、PWM 周波数の「リプル」が見えています。