TM7705N を使ったトランジスタ特性の測定 (3)

以下に示す品種の PNP トランジスタも測定してみました。

  • 2SA1015-GR、2SA1015-Y (東芝製)
  • 2SA1618-Y (東芝製、2 素子封入、コモン・エミッタ、2SA1015-Y ×2 相当)
  • HN03B02FU (東芝製、PNP + NPN、 2SA1015-GR + 2SC1815-GR 相当)
  • 2SA1049-GR (東芝製)
  • 2N3906 (Fairchild 製)

NPN トランジスタの時ほどバリエーションを揃えられず、実質的に、
2SA1015-GR (相当)、2SA1015-Y (相当)、2SA1049-GR、2N3906
の 4 種類のみということになります。
ブレッド・ポードの面積の制約のため、測定する特性ごとに回路を組みなおしています。
PNP トランジスタの IC-VBE 特性測定のための回路を下に示します。

アンチログ回路は 3.3 V 電源のマイコンから制御するために電源電圧は 3.3 V に揃えており、アナログ・コモン電圧の 2.5 V との電位差 3.3 - 2.5 = 0.8 [V] を被測定トランジスタの VBE とアンチログ出力トランジスタの VCE とで分け合う形になっています。
したがって、出力電流が大きくて被測定トランジスタの VBE が大きくなる領域では、アンチログ出力トランジスタの VCE が小さくなり、「飽和」して出力電流が減少します。
IC-VBE 特性の測定結果のグラフを下に示します

アンチログ回路の設定としては、最大電流が 1 mA を超えるようになっていますが、VBE が小さい2SA1049-GR 以外では、出力トランジスタの飽和により最大電流が 1 mA まで達していません。
HN03B02FU の Q1 (PNP 側) と 2SA1015-GR のプロットは近接しており、おそらく中身のダイは同じものと思われます。
同様に 2SA1618-Y と 2SA1015-Y のプロットも近接していて、同等のダイを使用していることを伺わせます。
2SA1049-GR はスペックではコレクタ電流の最大定格は -100 mA と高出力ではありませんが、VBE の値は最も低くなっています。
hFE-IC 特性の測定回路を下に示します。

特性の測定結果のグラフを下に示します。

2N3906 を除き、すべてのプロットが電流の大きい領域で hFE が低下する傾向を示していますが、おそらくこれは測定上の問題で、実際の特性を見ているわけではないと思われます。
2SA1015 のデータシートのグラフを見ると、コレクタ電流 -0.1 mA 〜 -1 mA の領域の hFE は、ほぼ直線になっています。
以前の NPN トランジスタの測定では、データシートの図と矛盾しない結果が得られていたので、これは測定上の問題と思われます。
ブレッドボード上の測定で不安定要素も多いため、ここでは深く追求せず、ユニバーサル基板上にきちんと回路を配線した状態にしてから検討したいと思います。