周波数成分を 90° 移相した三角波による FM 合成

 約 1 年前の 2019 年 3 月 7 日付けの記事 (こちら) で示した、三角波のすべての周波数成分の位相を 90° 移相して得られた「ずんぐりとした正弦波」状の波形を FM 音源の波形のひとつとして追加し、合成波形を見てみました。
 最小限のパラメタのみを変更可能としたホスト・アプリケーションを作成して波形を表示させています。
 WS (ウェーブ・セレクト) = 8 として登録した波形を下に示します。
 セルフ・フィードバック (FB) をゼロと設定し、自分自身および他から一切変調を受けていないモジュレータ側の波形として表示しています。

 WS = 8 の波形の値は 2019 年 3 月24 日付けの記事 (こちら) で示した 2 重対数関数を含む式で計算してあります。
 連続波形としてのゼロクロス点での傾きは理論上は無限大で、垂直に切り立った形となりますが、波形 ROM に収める際に離散化されるので、当然、傾きは急峻ではあっても有限の値として表現されます。
 ついでに、三角波も WS = 9 として追加してみました。

 標準の正弦波 (WS = 0) では、FB = 4 まではフィードバック・ループ内の LPF のおかげで、セルフ・フィードバックで振動的にはなりません。

 WS = 8 では、ゼロクロス点付近の傾きが急なため、FB = 4 でもゼロクロス点付近は振動的になります。

 ここからは、

  • モジュレータの MULT (周波数倍率) = 2
  • キャリアの MULT = 1

と選んで、色々なモジュレータ/キャリアの組み合わせでの方形波状の波形を合成することを考えます。
 まず、通常の WS = 0 の正弦波同士の組み合わせの場合です。

 モジュレータの TL (トータル・レベル) = 43 でピーク部分 (4084 および -4085) の幅が一番広くなり、それぞれ 203 サンプルとなります。
 次は、モジュレータ WS = 8、キャリア WS = 0 の場合です。

 モジュレータの TL (トータル・レベル) = 48 でピーク部分 (4084 および -4085) の幅が一番広くなり、それぞれ 117 サンプルとなります。
 次は、モジュレータ WS = 0、キャリア WS = 8 の場合です。

 モジュレータの TL (トータル・レベル) = 43 でピーク部分 (4084 および -4085) の幅が一番広くなり、それぞれ 212 サンプルとなります。
 次は、モジュレータ/キャリアともに WS = 8 の場合です。

 モジュレータの TL (トータル・レベル) = 47 でピーク部分 (4084 および -4085) の幅が一番広くなり、それぞれ 141 サンプルとなります。
 ついでに、モジュレータ/キャリアともに WS = 9 (三角波) の場合です。

 モジュレータの TL (トータル・レベル) = 40 でピーク部分 (4084 および -4085) の幅が一番広くなり、それぞれ 257 サンプルとなります。
 これらの波形を重ね合わせて表示すると下のようになります。

 ゼロクロス点付近の傾きが最も大きいのはモジュレータ/キャリアともに WS = 8 の場合で、最も小さいのはモジュレータ/キャリアともに WS = 9 (三角波) の場合です。