TM8211 (2)

 TM8211 / PT8211 のデータシートには、(NXP/Philips 製) TDA1311 と機能コンパチブルであることが記されています。
 TDA1311 では、「Continuous Calibration」と称する方式が採用されています。
 TDA1311 の回路構成としては、16 ビット・データ入力の上位 5 ビット・データについては、基準単位電流源を 0 個 ~ 32 個合成することにより表現し、下位 11 ビットについてはその電流を抵抗ネットワークによって分割して、合計 16 ビット分の分解能を得ています。
 この上位の電流源を

  • 32 個ではなく 33 個用意し、
  • 「予備」として必ず 1 個の電流源が余るようにし、
  • 予備電流源についてリアルタイムで「キャリブレーション」を行い、
  • 順次「予備」と「実働」の電流源を入れ替えていく

ことにより精度を確保しています。
 TM8211 / PT8211 については、機能 / ピン接続がコンパチブルなだけで「Continuous Calibration」方式は使われておらず、データシートによれば中身は単純な 16 ビット R-2R 抵抗ラダーのようです。
 手持ちの「Gravis Ultra Sound」カードに TDA1311 が使用されているのを発見したので、ボードから外して特性を測定してみました。
 測定の条件としては、2019 年 12 月 31 日付けの記事 (→こちら) と同様に、48 kHz サンプリング、997 Hz のフルスケール・サイン波をDAC に出力し、変換されたアナログ出力を「WaveSpectra」で観測しています。

 2 次高調波は -75 dB 程度で、当然といえば当然ですが、TM8211 / PT8211 より優れています。