TM8211 (1)

 aitendo で Titan Micro 製の (ノンオーバーサンプリング) 16 ビット DAC 「TM8211」が販売されているのに最近気づきました。
 以前から販売されている Princeton Technology 製の「PT8211」とピン接続/機能が同等で、価格も同じ 1 個 50 円です。
 2017 年 6 月 28 日付けの記事 (→こちら) で PT8211 の特性を測定していますが、あまり良くない結果でした。
 TM8211 については、まだ 2017 年 6 月 28 日付けの記事のように 1 ステップごとの特性は測っていませんが、サイン波を入力して高調波歪の量で見る限り、PT8211 と同程度か、あるいは少し悪いという結果になりました。
 測定の条件としては、DAC に入力するディジタル・データは Nucleo-F446RE で発生させています。
 48 kHz サンプリング、997 Hz のフルスケール・サイン波を 16 ビットに量子化し、1 秒間分の 48000 エントリのテーブルとしたものをフラッシュに書き込み、繰り返し読み出して出力しています。
 DAC のアナログ出力を PC のオーディオ入力に接続し、「WaveSpectra」で周波数成分を観測しています。
 まず、Princeton Technology 製 PT8211 の場合です。


 2 次高調波は -60 dB に近いレベルになっています。
 データシートのスペック上では、1 kHz、0 dB フルスケール正弦波に対する THD (Total Harmonic Distortion) が typ. 0.13 % となっていますから、スペックは満たしています。
 次は Titan Micro 製 TM8211 です。


 2 次高調波のレベルは -60 dB を超えています。 ノイズ・フロアも -100 dB を超えています。
 THD のスペックは PT8211 と同じですから、typ. 値は超えていて、max. 値の 0.3 % に近い値となっています。
 比較対象として、ROHM 製 BU9480 の結果を示します。


 2 次高調波は -70 dB を下回っています。
 データシートのスペック上では、1 kHz、0 dB フルスケール正弦波に対する THD+N は、typ. 0.05 % (-66 dB) ですから、ほぼ満足しています。
 さらに、USB-DAC である TI/BB 製 PCM2704 の場合を示します。
 サイン波のディジタル・データとしては、16 ビットサイン波テーブルの内容を .wav ファイル化したものを「WaveGene」で繰り返し再生して PCM2704 に供給しています。


 すべての高調波成分が -80 dB 以下となっています。