1/12 オクターブバンド・フィルタ (11)
tan δ の値がマイナスになる問題は、データ処理の部分で「平均化」するサンプル・サイズを大きくしてもあまり改善されないので、「ランダム・ノイズ」によるものではなく、「系統的」な要因によるものと思われます。
ハードウェア部分を、あまり複雑にならない範囲でいろいろいじってみて、多少の改善は得られました。
その測定結果を下に示します。
番号 | 材質 | メーカ | 型番 | 容量 | tan δ | 購入店 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ポリスチレン | 双信 | QS06 | 103 | -0.00033 | 秋月 |
2 | ポリプロピレン | ニッセイ | APS | 103 | 0.00032 | 千石 |
3 | ポリプロピレン | ニッセイ | APS | 333 | 0.00017 | 千石 |
4 | ポリエステル | ニッセイ | MMT | 333 | 0.0034 | 秋月 |
5 | ポリエステル | ルビコン | F2D | 333 | 0.0037 | ? |
6 | ? | ? | ? | 333 | 0.0032 | aitendo |
7 | ポリプロピレン | ルビコン | MPS | 473 | -0.00031 | 秋月 |
8 | ポリプロピレン | ニッセイ | APS | 683 | 0.00037 | 千石 |
9 | ポリプロピレン | ルビコン | MPS | 104 | -0.00021 | 秋月 |
ニッセイの APS の値はすべて正になり、双信 QS06 とルビコン MPS だけがマイナスの値となっています。
現状のハードウェア部分の回路図を下に示します。
当初の回路では、USB オーディオ・インターフェースのライン IN / OUT の信号レベル (数百 mVp-p) をそのまま DUT に加えていましたが、この回路ではオーディオ出力からの正弦波信号を約 6 倍に増幅して 5 Vp-p 程度のレベルとして DUT に加え、検出した電圧 / 電流信号は約 1/6 にしてオーディオ入力に戻しています。
ただし、この変更はあまり効果がありませんでした。
当初の回路では電圧信号の検出には反転型の増幅回路を使っていましたが、この回路では非反転型のボルテージ・フォロアを使っています。 これは少し効果がありました。
次回は測定方法について説明します。