PSoC 4200 Prototyping Kit (27)

多重帰還 (Multple-Feedback) 型 3 次 LPF を試してみましたが、PSoC4 内蔵の OP アンプを使って、2 次および 3 次高調波のレベルが -80 dB 程度、歪率が 0.02 % 程度の結果が得られました。
フィルタの回路図を下に示します。

多重帰還型 LPF は OP アンプを反転型積分器として使うので、ゲインは (反転していますが) 任意に選ぶことができます。
バタワース・フィルタでは過渡応答にオーバーシュートが生じるので、オーバーシュート部分で出力がクリップしないように、ゲインの絶対値は 1 よりも小さく、0.8 程度に選んであります。
また、OP アンプに対してアナログ・コモン電圧が必要となりますが、簡単に分圧抵抗と平滑コンデンサの組み合わせで実現しています。
実装については、大げさに書くと下の図のようにしました。

数 MHz のレートで出力される 1 ビット DA 出力から配線を引き回してフィルタに入力するのではなく、1 ビット DA 出力に 1 次 RC フィルタ部分を直結させ、数 MHz の充放電電流の流れるループの面積をなるべく小さくしています。
1 次 RC フィルタ部分で数 MHz の成分は十分減少しているので、遠くにある OP アンプを含む 2 次部分への配線が少々長くなっても大きな問題はありません。
WaveSpectra で観測した結果のグラフを下に示します。

外部 OP アンプを含むフィルタ回路全体をブレッド・ボード上に組んで、 1 ビット DA 出力から配線を引き回してフィルタに入力してテストしていた段階では、使用する外部 OP アンプによらず、高調波のレベルは -60 dB 程度でしたが、特に高性能ではない PSoC4 内蔵 OP アンプを使って上述のような実装をして、 -80 dB 程度の高調波レベルが得られています。