Gilbert Sine Shaper (13)

「岩波 数学公式」第 I 巻、第 VI 編 平面曲線、§64 y^2=f(x) の型の曲線、第 6.30 図、pp.273 に「S 字カーブ」となる、次のような式が載っていました。

\qquad\qquad y^2 = \frac{x^2}{x^2+1}

この式の平方根を取ると、
\qquad\qquad y =  \frac{x}{\sqrt{\large x^2 + 1}}
(および、この式の符号をマイナスにしたもの) となります。
この式のグラフを下に示します・

緑の線が sin(x) で、青の線が tanh(x)、赤の線がこの関数です。
tanh(x) に比べて「ロングテイル」、つまり、x の絶対値が大きくなっても、関数の値は、なかなか +1 あるいは -1 に近づかない性質を示しています。
この関数のフーリエ変換に使える公式が見つからなかったので、今回も高調波の振幅の理論式は求められませんでした。
プログラムで計算した結果のグラフを下に示します。

E/Vt が 3 よりも小さく、振幅が -140 dB 以下になる高調波のレベルが減少していかずに、かえって持ち上がっていく現象が見られます。
実は、これは級数の和を 3 項とか 5 項に制限した場合に見られる、「項数が足りない」ために起こる現象と同じです。
このプログラムでは、201 項の級数を計算しているのですが、この関数が「ロングテイル」すぎるために、E/Vt が小さい領域では、それでも項数が足りなくなるのです。
項数を 501 項とか、1001 項とかに増やしてやると「持ち上がり」は改善されます。