dsPIC33FJ64GP802 (26) --- 周波数シフター (10)

 解析的には積分が難しい関数でも、べき級数としての表現が得られれば、その式を項別に積分して結果の式を求めることができます。
 得られた級数を必要な精度を満たす項まで計算すれば、数値としての値が求まります。
 Maxima にはテイラー級数 (Taylor series) を求める taylor() 関数が用意されており、それを利用して逆グーデルマン関数 agd(x) を展開し、積分すると、

のようになります。

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dsPIC33FJ64GP802 (25) --- 周波数シフター (9)

 前回の三角波のサイン → コサイン置き換え版を、数式処理システムの「Maxima」でフーリエ級数以外の表現で求めてみたところ、やはり、初等関数では表せない形になるようです。
 まず、「方形波」を積分すれば「三角波」になるので、方形波のフーリエ展開の式である 1.442-4. 式の左辺を積分した値を求めると、三角波フーリエ展開である 1.444-5. 式の左辺、あるいは 1.444-6. 式の左辺に結び付くはずです。

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dsPIC33FJ64GP802 (24) --- 周波数シフター (8)

 偶対称の位置に配置した方形波のフーリエ展開である 1.442-4. 式のサイン → コサイン置き換え版である 1.442-3. 式


\hspace{-5em}
  \displaystyle
    \sum_{k\;=\;1}^\infty (-1)^{k-1}\frac{\sin (2k-1) x}{2k-1} = \frac{1}{2}\ln\tan\left(\frac{\pi}{4}+\frac{x}{2}\right) 
      \qquad 
      [-\pi < x < \pi ] \tag{1.442-3.}

と、前回示した逆グーデルマン関数の定義

\hspace{0em}\displaystyle
\begin{align}
     x = \mathrm{gd}^{-1}\ u = \int_{0}^{u} \frac{dt}{\cos t} = \ln \tan \left( \frac{u}{2} + \frac{\pi}{4} \right)
\end{align}

の右辺を比較すると、

  • 係数 \frac{1}{2} の有無
  • 変数 x と変数 u の違い

を除いては同じ形になっていることが分かります。

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dsPIC33FJ64GP802 (21) --- 周波数シフター (5)

 以下、(1.441-1.) のような式番号が付けられている式は、

I.S. Gradshteyn, I.M. Ryzhik 著
Alan Jeffrey, Daniel Zwillinger 編
"Table of Integrals, Series, and Products",
Seventh Edition,
Academic Press

からの引用です。
 まずは、のこぎり波のフーリエ展開の式です。

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dsPIC33FJ64GP802 (20) --- 周波数シフター (4)

 ヒルベルト変換器を通すと、すべての周波数成分の位相が 90° 遅れるので、単一周波数の正弦波以外の一般の信号では、入力信号とは違った波形になります。
 のこぎり波 / 方形波 / 三角波に対する出力波形を観測し、「理論値」と比較してみました。
 まずは単一周波数 (250 Hz) の正弦波の場合を示します。

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