1/12 オクターブバンド・フィルタ (6)

ブレッドボード上に実際の MF10 の回路を組んで特性の測定を行いました。
フィルタ設計の結果得られた半端な値の抵抗は、次のように複数の抵抗を組み合わせて近似しました。

23.129 kΩ → (22 kΩ_F + 1.1 kΩ_J) = 23.1 kΩ
380.82 kΩ → (470 kΩ_F // (1 MΩ_F + 1 MΩ_F)) = 380.57 kΩ
781.18 kΩ → (470 kΩ_F + 220 kΩ_F + 91 kΩ_J) = 781 kΩ

ここで、「_F」とサフィックスを付けてあるのは F 級 (1 %) の金属皮膜抵抗、「_J」と付けてあるのは J 級 (5 %) の炭素皮膜抵抗を表しています。
測定は WaveGene でリニア周波数スイープするサイン波信号を発生させフィルタ入力に加えて、フィルタ出力を WaveSpectra のピーク・ホールド機能を使って記録する方式で行いました。
そのピーク・ホールドのオーバーレイ・データをファイルに保存し、PC 上のプログラムで平滑化して中心周波数や帯域幅を読み取っています。
結果のグラフを下に示します。

赤 / 青 / 緑の線が 3 つの BPF それぞれ単独の特性です。
これら 3 つを縦続接続した総合特性を下に示します。

「平坦部」が少し右上がりになっています。
データから読み取った中心周波数と Q の値、および誤差の表を下に示します。

f0  (誤差)  Q  (誤差) 帯域幅  (誤差)
BPF0 932.74 Hz (+0.04 %) 17.13 (-1.0 %) 54.44 Hz
BPF1 954.35 Hz (-0.17 %) 32.57 (-5.9 %) 29.30 Hz
BPF2 907.84 Hz (-0.16 %) 32.20 (-7.0 %) 29.20 Hz
総合 931.80 Hz (-0.06 %)  — 53.10 Hz (-1.4 %)

中心周波数の誤差はそれほど大きくありませんが、Q の誤差はマイナスのけっこう大きな値となっています。
各段の R3 の抵抗値を大きくする方向に調節すれば、もっと設計値に近づけることができますが、ブレッドボード上での実現ということもあり、あまり追求せず、これで満足することにします。