PSoC 4200 Prototyping Kit (30)

CapSense テクノロジは、「タッチ」の有無をタッチ電極の静電容量変化として検出する方式なので、精密な動作のためには精密な設定が必要になります。
「机上」の設計段階で、正確なストレ容量を推定することやノイズ環境の影響を正確に見積もることは不可能なので、正確な設定のためには「実機」(プロトタイプ) 上で「チューニング」することが不可欠です。
PSoC Creator には、その目的のための「チューナー」機能が組み込まれています。
ホスト PC とターゲット PSoC とを I2C で接続し、PSoC Creator 上の「チューナー」ヘルパー・アプリケーションと、ターゲット PSoC 上のソフトウェア・コンポーネントを協調して動作させ、アプリケーション上にグラフィカルに表示されるセンサの状態を参照しながらチューニングができます。
この I2C 接続には、MiniProg3 の USB-I2C ブリッジあるいは PSoC4 Pioneer Kit などの KitProg の USB-I2C ブリッジ機能を利用します。
PSoC 4 Prototyping Kit の USB-シリアル・ブリッジ・チップである CY7C65211 には USB-I2C ブリッジ機能がありますが、これは残念ながらサポート対象にはなっていません。
PSoC4 Pioneer Kit では必要な I2C 信号がすでに配線ずみなので、ハードウェア面での対応は不要であり、PSoC Creator 上の作業だけでチューニングを行なうことができます。
PSoC 4 Prototyping Kit 単体だけではチューナーを動作させることはできないので、CapSense コンポーネントはチューニング不要で自動でパラメタを調整してくれる「SmartSense」モードで利用しています。
ただし、細かい調整はできないので精密な動作には不向きです。
これまで下の図のように、本物の鍵盤を模したタッチ・センサ電極を基板上に作成して使ってきましたが、鍵盤の奥の白鍵と黒鍵が交互に並ぶ部分で隣同士の音が同時に鳴ってしまう場合がありました。

これは、鍵盤奥の黒鍵部分を人差し指や中指で弾くとき、(鍵盤にはタッチしていない) 親指が手前の幅広い白鍵部分の直上に滞留し、タッチするのと近い状態になってしまうことが原因と考えられます。
もしかしたら、精密にチューニングすれば避けられるのかも知れませんが、Prototyping Kit 単体ではチューニングできないため、鍵盤のタッチ・センス電極を下図のようなシンプルな形状のものに変更した基板も作ってみることにしました。

ウィジェット」、つまり、センサの種別は「ボタン」ひとつを鍵盤ひとつに対応させ、合計 12 個のボタンで一組の鍵盤を構成しています。
PSoC 4 CapSense デザインガイド」を見ると、推奨されるボタンの形状とサイズのガイドラインは、

  • 形状: 円形または角が丸い長方形
  • サイズ: 最小 5 mm 〜 最大 15 mm

となっています。
したがって、本物の鍵盤を模したセンサでは、全くこのガイドラインを満たしていないことが分かります。
上図のシンプルなタイプで、ボタン・センサ形状をガイドラインに沿って 10 mm × 15 mm 程度とした鍵盤を作り、演奏はしにくいものの、誤動作はしないことを確認できました。
詳しい話は次回に回します。