FPGA 版 FM 音源 (3) -- クロックの選定 (2)

前回、YMF715x (OPL3-SA3) でのマスタークロック分周比を「684」であると推定しましたが、明確にこの値を記してある資料を見つけました。
それは、タイトルが

「OPL4 YMF289D APPLICATION MANUAL」

という資料で、キーワード「OPL4」で検索するだけで pdf ファイルが容易に見つかります。
この資料は以前にダウンロードしてあったのですが、OPL4 ということで、前半の Wave Table 関連の説明の部分だけを見て、後半にある FM 関係の説明を見逃していました。
後半部分には、ほぼ「YMF715x (OPL3-SA3) - Register Description Document-」に相当する記述が含まれています。 残念なことにこの記事 (こちらこちら) でミスプリントだろうと推測した数値も、そのままになっています。
「OPL4 YMF289D APPLICATION MANUAL」の 48 ページの F_NUMBER の説明の中で、下のような式が示されています。

\qquad{\small \rm F\underline{\quad}NUMBER} = \frac{({\rm Desired freq})\, \times\, {\large 2}^{19}\, \div\, ({\rm Sampling freq}\, /\, 684)}{{\large 2}^{{\rm BLOCK}-1}}

ここで、元の式では「frequency」と記されている部分は、長くなるので「freq」と省略してあります。
すぐ分かるように、「Sampling frequency」は「マスタークロック周波数」の誤りです。 式での

(Sampling frequency / 684)

の部分は、本当は (マスタークロック周波数 / 684) であり、サンプリング周波数を求める式になっています。
OPL4 のウェーブテーブル音源部分のサンプリング周波数は 44.1 kHz なので、マスタークロック周波数は、その 768 倍の 33.8688 MHz を使うことになっており、それ以外の可能性はありません。
マスタークロック周波数が 33.8688 MHz なら、それを 1/684 した 49.51578947... kHz が FM 音源部分のサンプリング周波数になります。
その分周比は上の式の中で、「684」であることが明確に示されています。