PX-150 (14)

今回は、前回の記事で書き忘れたことの補足です。
まず、使用するショットキ・バリア・ダイオードの選択方法について何も述べませんでしたが、実際には、特別な制約はありません。
信号のトランジェントは μs オーダーであり、順方向電流は 2 mA 程度ですから、特に高速なデバイスとか、大電流用のデバイスが必要なわけではありません。
唯一求められるのが、順方向電圧降下 V_{\rm F} が小さいことです。
実際の回路に使用したのは、以前に買った秋月の AKI80 マイコンボードキットに含まれていた、 SRAM のバッテリ・バックアップ回路に使うためのショットキ・ダイオードです。
メーカー/型番ともに不明ですが、直径 3 mm 程度、長さ 3 mm 程度の円筒形のプラスティック・モールドのデバイスなので、定格 1 A 程度の整流用ショットキ・ダイオードだと思われます。
価格およびスペックだけで選ぶと、秋月で扱っている「HN2S01FU」(東芝製、3素子入り表面実装型、通販コード: I-01333)が、10 個入り 100 円と安く、V_{\rm F} = 0.18\; \rm V @ 1 mA と低いので適しているんじゃないかと思います。
また、ショットキ・ダイオードを使うことで Franco の補償の機能を実現できますが、一方、コンパレータのヒステリシス幅、つまり、のこぎり波の振幅が順方向電圧降下 V_{\rm F} の温度変化の影響を受けてしまいます。
結局、V_{\rm F} の温度変化が振幅の変化を通じて発振周波数の温度変化につながります。
具体的な回路は示しませんが、コンパレータのヒステリシス幅を決めている部分に V_{\rm F} の温度変化の影響を打ち消すような回路を組み込めれば、発振周波数の温度変化をキャンセルできる可能性があります。