PX-150 (4)

今回は CMOS OP アンプのグループです。
MOS FET 入力なのでバイアス電流は少なく、入力電流の小さい時、つまり低い周波数でも問題ありません。
まずは NS 製の LMC662 です。 フルスイング出力です。
LMC662 (NS)
V_{\rm OH} は Vcc - 0.2 [V] 程度であることが読み取れます。 LMV358 に次いで大きな値となっています。
スペック上のスルーレートは標準値で 1.1 V/μs ですが、波形から読み取ると 3 V/μs 程度になっています。
のこぎり波のリセット期間の終わりで少し振動的な波形になっています。
次は JRC 製の NJU7032 です。 フルスイング出力です。
NJU7032 (JRC)
フルスイング出力のはずなのに V_{\rm OH} が 4 V と低いのですが、これは出力ソース電流が最大 1 mA に制限されていることが原因です。
内部回路で制限されているため、外部回路なしには、どうやっても約 1 mA を超えて OP アンプ出力からソース電流を取り出すことはできません。
したがって、D12、R23 (1 kΩ) を介して流れるリセット電流が約 1 mA となる V_{\rm OH} までしか出力電圧が上がらないのです。
波形からも、リセット電流が少なくなるため、LMC622 の波形と比べてリセット期間が長くなり、 V_{\rm OH} が低いため、のこぎり波の振幅も小さくなっているのが分かります。
スペック上のスルーレートは標準値で 3.5 V/μs ですが、波形からは 4 V/μs 程度であることが読み取れます。
回路定数を変更して、

  • 積分コンデンサの値を半分に (C7 : 0.01 μF → 0.0047 μF)
  • アンチログ出力電流を半分に
  • リセット電流を半分に (R23 : 1 kΩ →2 kΩ)

してやれば OP アンプ出力電流を 1 mA 以下におさえることができ、フルスイング出力になると思います。
あるいは、外部にソース電流を補助する回路を付けるのもいいかも知れません。
最後は「番外」になりますが、MOTOROLA 製の CMOS ビデオアンプ MC14577 です。 (廃品種)
MC14577 (MOTOROLA)
さすがにビデオアンプだけあって、高速で、のこぎり波の波形もきれいです。
ただし、消費電流が数十 mA であり、電池動作には向きません。