PX-150 (5)

今回は 5 V 電源では規格外の使用となる OP アンプのグループです。
正負両電源ではポピュラーな JFET 入力の TL082 系列の、NJM072 と NJM2082 です。
どちらも動作電源電圧の最小値は ±4 V (単一電源では 8 V) です。 当然、5 V 電源では規格外となります。
この電源電圧の制約は、内部のバイアス電流の安定化のためにツェナー・ダイオードを使った回路を使用していることが原因です。
ツェナー・ダイオードが ON しない低い電源電圧では、バイアス電流は設計値よりも少なくなり、各種の性能が低下し、しかも電源電圧の変動の影響を受けます。
スルーレートが 20 V/μs と高いのが魅力なので、5 V 電源で使うと規格外となり、性能が劣化することを承知で波形を見てみました。

最初は JRC 製の NJM072 です。 低雑音版 TL082 である TL072 のセカンド・ソースです。
NJM072 (JRC)
NJM072 は他のセカンド・ソース品よりスルーレートが高いのですが、その分、発振に対する安定性が低く、データシートでは、ボルテージ・フォロアなどの帰還量の多い応用に対して、他社製 TL072 と同様にスルーレートを 13 V/μs におさえた NJM072B を使うことを推奨しています。
波形を見ると、確かにコンパレータとして使っている CH2 の波形のトランジェントは速いですが、V_{\rm OH} - V_{\rm OL} のレンジは狭く、それに伴い、のこぎり波の振幅も小さくなっています。
のこぎり波のリセット期間の終わりで、波形がちょっと乱れています。
次は JRC 製の NJM2082 です。
NJM2082 (JRC)
TL082 の改良型で、高スルーレート、低ノイズなどの特長を持っています。
V_{\rm OH} - V_{\rm OL} のレンジは NJM072 より少し広くなっています。