PSoC5LP Prototyping Kit (38) --- デルタ・シグマ ADC と CIC 補償フィルタ (4)

デルタ・シグマ ADC に CIC 補償フィルタを接続した場合の周波数特性を測定しました。
まず、出力を SPDIF 経由でディジタル・データそのものとしてキャプチャした場合の結果を下に示します。

赤色の線が、sinc^4 の逆数の特性のフィルタをかけて SPDIF からキャプチャしたものです。
SPDIF 経由では、一度もアナログ信号にならないので、ノン・オーバーサンプリング DAC のような 1 次ホールド特性が付け加わらず、4 次 (4 段) CIC フィルタが示す sinc^4 特性に対する補償フィルタで完全に補償され、周波数特性がフラットになっています。
青色の線が、sinc^5 の逆数の特性のフィルタをかけて、SPDIF からキャプチャした結果です。 補正量が過剰になるので、正規化周波数 0.42 程度の通過帯域端に向かってゲインが上昇するグラフになっています。
緑色の線が、sinc^4 の逆数の特性のフィルタをかけて、ノン・オーバーサンプリング DAC によりアナログ信号に変換した後に USB オーディオ・インターフェースでアナログ信号録音した結果です。 補償量が足りないので、通過帯域端に向かってゲインが下がるグラフになっています。
下にノン・オーバーサンプリング DAC 使用の場合の結果を示します。

赤色の線が、sinc^5 の逆数の特性のフィルタをかけて、ノン・オーバーサンプリング DAC によりアナログ信号に変換した後に USB オーディオ・インターフェースでアナログ信号録音した結果です。 
周波数特性は補正されて、ほぼフラットになっていますが、完全にフラットではなく、高域に向かって少しだけゲインが落ちているのは、使用した USB オーディオ・インターフェースの録音側の特性によるものです。
青色と緑色の線は前のグラフと同様に、過剰補償の場合と、補償不足の場合です。
sinc^5 用の補償フィルタは等リブル近似の設計プログラムで作成したので、結果の通過域の周波数特性にリプルが見えています。
sinc^4 用の補償フィルタは Filer コンポーネント組み込みの窓関数法による設計プログラムで作成したので通過域にリプルはなく、周波数特性は滑らかになっています。