アナログシンセの VCO ブロック (59) -- マルチ出力アンチログ回路の測定 (8)

これまでは、

  • ピンポイントの温度における MIDI ノート番号全体に渡る特性の測定
  • 広い温度範囲に渡るオクターブ・スパンの特性の測定

を、それぞれ行ってきましたが、今回は

  • 広い温度範囲での全 MIDI ノート番号に渡るピッチ誤差特性

  • リワインド型 VCO
  • リセット型 VCO

のそれぞれについて測定してみました。
まず、リワインド型 VCO のピッチ誤差特性のグラフを下に示します。
広い温度範囲に渡るピッチ誤差曲線を重ねてプロットしたものです。

温度範囲は約 21.5 °C から約 31.4 °C までの約 10 °C で、ピッチ誤差の変動は約 3 セントとなっています。
温度の低い方でピッチ誤差はプラス側 (周波数の高い方) へ、温度の高い方でピッチ誤差はマイナス側 (周波数の低い側) へと変化しています。
グラフは右下がりになっているので、錯覚により MIDI ノート番号の大きい方で誤差変動が小さくなっているように見えますが、実際には誤差の曲線の外形はほとんど変化はなく、全体の「オフセット」だけが温度により変化しています。
リセット型 VCO のピッチ誤差特性のグラフを下に示します。 (Franco の補償は 335 Ω)

温度範囲は約 22.6 °C から約 32.1 °C までの約 9.5 °C で、ピッチ誤差の変動は約 10 セントとなっています。
リワインド型 VCO に比べて約 3 倍のピッチ変動になっています。
これは、リセット型 VCO では発振周波数に関与する回路要素の数がリワインド型に比べて多いためです。