シュトレーレ回路 (3) -- シュトレーレ・アッテネータ (2)

シュトレーレ・アッテネータの応用としては、文字通り連続可変アッテネータとしての利用があげられます。
単独では可変範囲 6 dB と狭いので、20 dB や 10 dB などの固定ステップ・アッテネータ段と組み合わせて、6 dB 分だけは連続に可変できる形にすると良いと思います。
ボリウムの回転範囲を 300°とすると、この角度変化に対し 6 dB (正確には 6.0205… dB) のゲイン変化ですから、パネルに 0.5 dB 間隔で目盛りを打つとすると、目盛り線は 25°おきの等間隔で並ぶことになります。
前回、ボリウムの回転角を精度よく求めるのが難しいと書きましたが、バーニア・ダイアルを装着した精密多回転型ヘリカル・ポテンショメータを使えば、ダイアルから回転角を読み取ることができます。
実は私も秋月から購入したものを持っているのですが、誤配線で 2 番端子と 3 番端子の間に過電流を流して抵抗線を焼ききってしまい 3 番端子側が断線してしまいました。
1 番端子と 2 番端子の間の抵抗線は無事なので、1 - 2 間の抵抗だけを利用する場合には使えますが、全部の端子を利用する今回の実験には使えない状態です。
2 連ボリウムを使い、片側を通常のリニア電圧が出る回路にして、回転角を検出する方法もありますが、「ギャング・エラー」の影響があるので、0.2 % 台の精度のシュトレーレ近似に対して満足な実験ができるかどうかは分かりません。
機械的な可変抵抗器ではなく、抵抗ストリングにアナログスイッチを組み合わせた、いわゆる「ディジタル・ポテンショメータ」を使えば、「x」はディジタル・データで与えるので明確になります。 実際の抵抗値の精度は IC に依存することになります。
この応用の場合には、ディジタル・コードを送って抵抗値を設定しゲインを決めるので、「アッテネータ」と言うよりも「シュトレーレ PGA (Programmable Gain Amplifier)」と呼ぶのが適切かも知れません。
3 〜 5V 単一電源用の 4 チャンネル 64 ポジションのディジタル・ポテンショメータ IC の AD5203 (100 kΩ 版) を持っているので、これで実験してみたいと思っています。
実は、このリニア・ステップで変化するディジタル・ポテンショメータを、なんとか dB ステップで変化させられないかと考えていて、シュトレーレ近似が適用できることに気が付いたのです。