MIDI to CV (4) -- SCF VCF (1)

アナログ・シンセの VCF 部には、いろいろな回路方式があり、各シンセの個性が現れる部分でもあります。
ここでは、アナログ VCF を CV でコントロールする通常の方法ではなく、スイッチト・キャパシタ・フィルタ (SCF) のクロック周波数を可変して、カットオフ周波数を変える (かなり強引な) 方法を取りました。
使用した SCF は、手持ちの「MF10」です。
MF10 は、クロックの 1/50 あるいは 1/100 を中心周波数 (f0) とし、外付けの抵抗で特性を自由に選べる2次フィルタ・ブロックが2回路、20 ピン・パッケージに入っているものです。
MF10 自体は現在でも手に入りますが、設計が古く、価格も安くはないので*1、新たに購入して製作するのは、全くお勧めできません。
どうせなら、6 ビットのディジタル・コードで 1 オクターブ内を 64 ステップで中心周波数 (f0) を選択でき、Q も 7 ビットコードで 128 ステップの選択ができる MAX261 / MAX262 (Maxim 製) を使ってみると面白いと思います。
ただし、高価*2なので、私は実験してみる予定はありません。
VCF としての構成は、1次フィルタを (バッファを介して) 4個シリーズに並べ、負帰還をかけてレゾナンスを生じさせる、いわゆる Moog タイプにしました。
MF10 の2次ブロックの特性を、1次フィルタをふたつ縦続した特性に選び、2個の2次ブロックを接続して1次フィルタ4個分としました。
フィードバック量を多くして、フィルタを発振させた場合に出力が安定になるように、トランジスタの差動増幅段を設けて、レベルが大きくなるとゲインが下がるようにしてあります。
レゾナンス (フィードバック量) については電圧可変にしてありません。 ボリウムを回して手動で変えます。

  • SCF-VCF 部の回路図

カットオフ周波数の可変は、SCF クロックの周波数を変えることだけで行います。
スイッチト・キャパシタ・フィルタはサンプル値処理なので、エイリアスを防ぐための連続時間フィルタが必要になりますが、ここでは簡単のため、アンチエイリアス・フィルタは入力側にも、出力側にも入れていません。
その影響で、カットオフ周波数が低い場合に SCF クロックが可聴周波数となり、出力に漏れてきます。
SCF クロック発生部については、次回説明します。

*1:20P DIP タイプの単価は Digi-Key で 519 円、若松通商で 1050 円

*2:24P DIP タイプの単価は、Digi-Key で MAX261 が 1,668 円、MAX262 が 1,920 円 (両方とも最小発注数量は 15)、共立電子で、それぞれ 2,310 円、2,520 円、若松通商で、それぞれ 3,675 円、2,625 円