SH-2A 基板 (16)

SH-2A 基板のベースボードに BU9480F と μPD6376 を実装して、

  • SPDIF 光出力
  • AK4321VF
  • BU9480F
  • μPD6376

の計 4 種類の DAC から音が出るようになりました。
これら4つから同時にオーディオ出力が得られるのは、オーディオ・クロックが 512 fs の場合に限ります。
ベースボードの DAC 部分の写真を下に示します。

青い 16 ピンの変換基板が μPD6376 で、(28 ピン基板を 4 ピン分切り落として作った) 24 ピンの緑の変換基板が AK4321VF で、8 ピンの緑の変換基板が BU9480F です。
回路図を下に示します。

配置の都合上、AK4321VF は top view、μPD6376 と BU9480F は bottom view で描いてあります。
AK4321VF と BU9480F は 3.3 V 動作可能なので、ベースボード上の 3.3 V レギュレータ出力から電源を取っています。
μPD6376 は 3.3 V 動作ができないので、USB の 5 V 電源を接続しています。
μPD6376 の入力ロジック・レベルは CMOS レベルで、H 側の最悪値は
0.7 x Vdd = 0.7 x 5 [V] = 3.5 [V]
ですから、ワーストケースでは、I/O 電圧 3.3 V の SH-2A ではドライブできない恐れがありますが、実際には問題なく動いています。
FM 音源プログラムを改造し、48 kHz サンプリングで 256 サンプルで 5 周期、具体的には 937.5 Hz の正弦波を発生させ、各 DAC 出力を PC のライン入力につないで WaveSpectra でスペクトラムを観察してみました。
約 1 分間に渡ってピークホールドしたピーク値を表示しています。
大きな電流変動によりノイズ源となる SD/MMC カードはまだ実装していないので、比較的クリーンな状態の電源での動作となります。
BU9480F の場合を下に示します。

STM8S-Discovery の場合とは別の個体の BU9480F ですが、高調波ひずみの出方は同様の傾向を示しています。
μPD6376 の場合を下に示します。

これも高調波ひずみが多いですが、奇数次のレベルの方が高くなっています。
AK4321VF の場合を下に示します。

各次の高調波ひずみは -90 dB 以下のレベルになっています。 10 数 kHz 〜 30 数 kHz のスペクトル成分は外来ノイズによるものです。
ノイズフロアについては 3 種の DAC とも同レベルで、測定系の特性が表れているものと考えられます。
μPD6376 のメインローブ近辺を拡大したものを下に示します。

上下に 30 Hz 程度離れた周波数に小さなピークが見られます。
これはおそらく 5 V 電源に乗っているノイズに振られて振幅変調された成分だと思われます。
変換基板上には VREF の平滑用の 2.2 μF のタンタル電解コンデンサが実装してありますが、その容量だけを使った場合には、ピークの値はもっと大きく出ていました。
回路図には 47 μF と書いてありますが、実際には 100 μF を追加した場合の結果が上の図です。
BU9480F および AK4321VF の場合にも、小さなピークは認められますが、レベルは -100 dB 以下でした。
AK4321VF での結果を下に示します。