dsPIC33FJ64GP802 (1) --- DAC の周波数特性 (1)

Microchip 社の dsPIC33F ファミリは、DSP 命令を持つ 3.3 V 電源の 16 ビット・マイコン・ファミリで、秋月電子では次の 2 品種の取り扱いがあります。

  • dsPIC33FJ32GP202-I/SP (単価 380 円)
  • dsPIC33FJ64GP802-I/SP (単価 480 円)

型番中の「GP」は「汎用」(General Purpose) を表しています。 他に、モータコントロール用や電源制御用に特化したシリーズもあります。
型番の 202/802 の最後の「2」は 28 ピン・デバイスであることを示しています。
802 の方は 100 円高いのですが、オーディオ用途に適した

  • 16 ビット・デルタシグマ・オーディオ DAC が 2 チャネル (サンプリング周波数最大 100 kHz)
  • AC97 コーデックとの接続機能を備えた DCI (Digital Converter Interface)

が内蔵されています。
dsPIC33FJ64GPX02/X04 のデータシート (DS70292G) および "dsPIC33F/PIC24H Famiry Reference Manual" の Section 33. "Audio Digital-to-Analog Converter (DAC)" (DS70211B) の記述によれば、

  • 16 ビット解像度 (14 ビット精度)
  • 2 次ディジタル・デルタシグマ・モジュレータ
  • 256x オーバーサンプリング比
  • 128 タップ FIR アナログ再構成フィルタ
  • 最大サンプリング・レート 100 ksps
  • 差動アナログ出力
  • SN 比 90 dB

などの特長があります。
しかし、通常の単体のオーディオ用 DAC であればデータシートに記載されている内蔵補間フィルタの特性図などは示されていないので、特性を測定してみました。
DAC モジュールの入力 FIFO などの部分を省き、DAC 部分に限ったブロック・ダイアグラムを下に示します。

ひとつの DAC モジュールには 2 チャネル分の DAC が含まれており、オーディオ用途を意識して、「L」「R」というサフィックスで区別されています。
オーディオ出力は差動出力となっており、「P」「N」のサフィックスで区別されています。
「中点電圧」を出力する「M」サフィックスの端子も用意されていますが、44 ピン・デバイスである 804 型番のチップでのみ利用できます。
測定に使用した回路を下に示します。

これは PICkit3 からの書き込み、外付け水晶発振子、オーディオ出力の加減算回路などの最低限の回路のみを実装しています。
アナログ/ディジタル 電源/GND の分離等についても考慮してありません。
データシートの回路図では加減算回路の抵抗が 10 kΩ になっているのに、上の回路では 15 kΩ を使用しているのは、単に手持ちの部品の都合です。
フルスケール正弦波出力の実測値は約 2.8 Vp-p (約 1 Vrms) となったので、3.3 V 電源では余裕がありません。 スペック上は最大値として 4 Vp-p となる可能性があり、その場合には 3.3 V 電源ではクリップが生じるので、加減算回路のゲインを 1 以下にして、振幅を制限した方が良いと思われます。