PIN フォトダイオードによるガンマ線検出回路 (9)

フォトダイオード・アンプ出力を PC のサウンド入力と接続し、WaveSpectra でバックグラウンドのノイズを観測した結果を下に示します。
上側のトレースが「時間波形」で、下側の青い線が 300 回平均して求めたスペクトルです。
PD アンプの LPF の特性により、ノイズレベルは 2 kHz 程度から減衰し始めており、20 kHz 帯域の PC のオーディオ・インターフェースで取り込むのに適した形になっています。
50 Hz と 100 Hz の電源周波数にピークがありますが、これは取りきれなかった電源ハムの成分です。

オシロで観察したノイズ波形の写真を下に示します。

ノイズの rms 値は 30 mV 程度で、当初の 1 μs の時定数の LPF の場合と違って、OP アンプを交換してみても、値に大きな差はありませんでした。
PD アンプ部にピークレベル 3 V のテストパルスを加えて、PRA でパルス振幅ヒストグラムを求めた結果を下に示します。

ヒストグラムの階級幅を 0.1 とし、任意単位 0 〜 100 を 1000 分割して出力したものです。
ちょっとガタガタしていますが、正規分布に近い形となっています。
平均は 62.9、標準偏差は 0.50 で、「半値幅」(FWHM: Full Width at Half Maximum) は約 1.3 です。(それぞれ任意単位)
下に、トリウム・レンズからのガンマ線を受けた場合のパルス出力波形の写真を示します。

テストパルス応答に比べて、立ち下りでマイナス側に振れるのがやや少なくなっています。
比較のために、前回のテストパルス波形を再掲します。

ディジタル・オシロの「ドット蓄積モード」を使って、トリウム・レンズからの波高の違うパルスを重ねて表示したものを次に示します。

トリガ・レベルは一定なので、波高の低いパルスに対しては、遅いタイミングで、波高の高いパルスに対しては早いタイミングでトリガが掛かるので、波高によってパルス位置がズレる、いわゆる「タイム・ウォーク」が見られます。
パルス前後のベースライン部分が太くなっているのは、ノイズの影響です。