MS-20 タイプの VCF (5)

ミューティング用トランジスタの HN1C03F にベース結合アンチログを組み合わせた回路で、ON 抵抗の変化を測定してみました。
結論としては、低 ON 抵抗の領域で直線性の悪化が見られますが、ON 抵抗の変化のレンジとしては、10 オクターブ以上得られていることが確認できました。
測定回路を下に示します。

右側の回路は、HN1C03F 単体での特性測定と同じ回路で、コレクタ電流 IC を電圧に変換して測定するためのものです。
上側の回路は、毎度おなじみのベース結合アンチログ回路です。 ベースのドライブには高 hFE の 2SC3113-B を使いました。
CV の分圧回路は、単純に 15 kΩ と 1 kΩ を使っており、おおよそ 0.3 [V/oct] の比率というだけで、正確に合わせ込んではいません。
左側の NJM3414 を使った回路は、約 10 mV の定電圧を被試験デバイスの HN1C03F のエミッタに供給するためのものです。
単なる抵抗分圧で 10 mV を作り出すと、ON 抵抗が数十Ωのレベルでは不正確になるので、単に OP アンプのバッファを付けただけです。
本当に求めたいのは直流オフセット 0 V での ON 抵抗ですが、直流での測定では 0 V を加えても電流は 0 A となるだけですから、なるべく 0 V に近くて測定誤差も大きくならない程度の電圧として 10 mV に設定しました。
実際には OP アンプのオフセット誤差が加わります。 実測では 8.7 mV 程度になりました。
この電圧は、特に調整もせず、事前に 1 回だけ測定しておいて、すべての電流値の測定でこの電圧が保たれているものとして ON 抵抗の計算に使っています。
ON 抵抗の測定結果のグラフを下に示します。

CV が小さく、ON 抵抗が高い部分でグラフが乱れているのは、測定電流値が小さく、測定誤差が大きいためです。
CV が大きい部分では (log スケールで見た) ON 抵抗のリニアリティが悪くなっていますが、値のレンジとしては 10 オクターブ以上得られていることが分かります。