XR2206 (11)

前回 5/12 付けの記事での測定結果のグラフは、オフセット調整上の問題から、おそらく低電流域が正しくないと思われます。
オフセット調整法を変えて測定し直した結果を、前の結果と合わせてプロットしたグラフを下に示します。

低電流域で誤差がマイナスに振れている赤色の線が前回の結果で、低電流域で誤差がプラスに振れている青色の線が今回の結果です。
電流の大きい方の 4 〜 5 オクターブの測定結果については、ほぼ一致しており、電流の小さい方の 5 〜 6 オクターブの結果に差が見られます。
前回の結果は、オフセットの調整が十分でなかった可能性が大きく、おそらく、今回の結果の方が実際の姿に近いと思います。
前回のオフセット調整は次の図のような方法で行いました。

XR2206 への電流出力を外し、1 MΩ の抵抗を介して +12 V につないで抵抗両端の電圧を測定し、これが 0 ボルト、つまり、抵抗を流れる電流がゼロになるように調整していました。
この方法では、抵抗から流れ出す方向の電流しか供給できないので、抵抗両端の電圧としてはマイナスに振れることはなく、オフセット電圧の調整でマイナス側に振ってたとしても、抵抗両端の電圧はゼロに貼り付くだけになります。
また、実際の電圧の読みは変動するので、ゼロに貼り付かない範囲でなるべく小さな値となるように設定していました。
さらに、この回路では FET のドレイン・ソース間の電圧は大きくなり、実際の回路での動作とは条件が違っています。
そこで、オフセットの調整時には FET の接続を外し、下の回路図のように、単に 1 MΩ の抵抗でフィードバックをかけるようにしました。

この方法で調整して測定したのが今回の結果です。
設定電流 1 μA に対しては、DAC 出力の LSB は 1/32 ステップに相当するので、DAC データの調整だけではオフセットをぴったりゼロに合わせるのは難しいです。
また、1 kΩ の R1 に対し、出力電流 1 μA を設定するには R1 両端の電位差を 1 mV に保持しなければならず、かなり苦しいので、精度良く測定できる何か別の方法についても考えてみたいと思っています。
オフセットの影響を少なくするために、R1 を 22 kΩ に差し替えて、フルスケール電流を 46 μA 程度として、1 μA までの特性を測定してみました。 結果のグラフを下に示します。

この場合は、 22 kΩ の R1 に 1 μA 流せば 22 mV となり、オフセット電圧の影響を小さくすることができます。
結果のグラフを見ると、低電流域で誤差がプラス側に振るのは間違いないようです。