LM13700 の SPICE モデル

VCF, VCA などで良く使われるオペレーショナル・トランスコンダクタンス・アンプ (OTA) の LM13700 の SPICE モデルは NS のサイト(→こちら)で公開されています。
無償で利用できる Linear Technology 社の LTSpice/SwCAD III に組み込んで問題なく使えるのですが、ふたつほど不満な点があります。

  1. SPICE2 系の記述 (POLY) になっているので ngspice などの SPICE3 系のシミュレータで使えない
  2. 出力段のアーリー効果をシミュレートしていると思われる回路で、暗黙のうちにノード 0 (GND) を使っており、正負電源が非対称であると、わずかな誤差が生じる

LTSpice は SPICE2 構文も SPICE3 構文も受け入れるので、1. については SPICE3 系の構文で統一してしまえば、LTSpice でも ngspice でも、同じソースファイルを使えることになります。
2. については、+電源と、−電源を対称にして使えば問題はありませんが、非対称な電源を使う場合に、ちょっと気持ち悪いです。
LM13700 の SPICE ネットリストは、フリーソフトウェアとして公開されていますが、勝手に手を加えたものを、勝手に再配布するのは問題かと思い、NS のソースそのものを使わなくてすむ方法を考えました。
それは、LTSpice の SPICE ネットリスト変換機能で得られた回路記述が、実質的に NS のソースと等価となるような回路図を作成することです。
そして、変更を加えたいときは SPICE ネットリスト直接ではなく、回路図の方に変更を加えて、変換機能により変更された SPICE ネットリストを得る方法です。
この方法で、前述の 1., 2. の問題を解決する変更を加えてみたのですが、実際のところ、うまく行っていません。
ngspice では、何の問題もなく実行できたのですが、肝心の LTSpice で、トランジェント解析ではうまく動くのに、AC 解析ではシミュレーションが収束しないという状態になりました。
そして現在、原因追及は棚上げ状態です。
そんなわけで、NS のソースと等価な SPICE ネットリストとなる、出発点としての回路図のみを公開します。
回路図の画像ファイルは(→こちら)
LTSpice の回路図データ (.asc ファイル) の内容は(→こちら)