アナログシンセ回路

3.3 V ノイズジェネレータ (1)

ノイズジェネレータの「定番」といえば、小信号用トランジスタのベース・エミッタ間に逆バイアスをかけ、ブレークダウンさせて「ツェナダイオード」として使い、発生するノイズを増幅する方式が一般的です。 しかし、小信号用トランジスタの VEBO はスペック…

アナログシンセの VCO ブロック (43) -- 温度補償回路(9)

温度補償回路の温度特性を測定してみて、効果があることが確認できました。 予備実験として、トランジスタ・アレイ内のトランジスタを「ヒーター」として利用して温度設定する方法も試してみたのですが、差動ペアのトランジスタ間に無視できない温度勾配が生…

アナログシンセの VCO ブロック (42) -- 温度補償回路(8)

実験回路を組み上げて、回路動作することは確認しました。 温度特性についての確認はこれからです。 回路図を下に示します。

アナログシンセの VCO ブロック (41) -- 温度補償回路(7)

3.3 V 動作の VCO 回路の次の段階として、通常は温度係数 +3300 ppm/℃ の抵抗 (TEMPCO) を使うオクターブ・スパンの温度補償を、TEMPCO を使わずにトランジスタ・アレイ内の差動ペアを利用して行う回路を考えています。 まだ回路は組んでいませんが、LTspice…

ノートンアンプによる OVCE タイプの VCA (3)

減衰音のエンベロープに相当する、下降のこぎり波の形状のエンベロープ CV を作成して入力してみたところ、やはり出力の DC レベルの変動が「CV 漏れ」となって現れました。 音を聞くと、入力信号がある場合には気になりませんが、入力が無音だと、「プチッ…

ノートンアンプによる OVCE タイプの VCA (2)

前回の回路の回路定数を見直して、3.3 V 単電源に対応する回路としました。 ノートンアンプ LM3900 の使用推奨電圧範囲は 4 〜 32 V ですが、内部回路 (アプリケーション・ノート AN-72) を見る限りでは、「縦積み」になっているのは Vbe 4 個分が最大なので…

ノートンアンプによる OVCE タイプの VCA (1)

SSM2164 (V2164) や SSM2018 などの OVCE (Frey Operational Voltage Controlled Element) タイプの VCA 回路をディスクリート部品で組むと大がかりになります。 そこで、ノートン (Norton) アンプ (LM3900) を利用して回路を簡略化し、5 V 単電源で使える回…

別のアンチログ回路 (3) -- アナログシンセの VCO ブロック (40)

前回の回路は、差動入力電流に対してアンチログ特性の出力電流を得るものですから、ピッチ CV のサミング・アンプが差動電流出力でなければ、何らかの形の電圧-差動電流変換回路が必要になります。 まず思いつくのがエミッタ直結のトランジスタ2個による差…

別のアンチログ回路 (2) -- アナログシンセの VCO ブロック (39)

まず、文献 [*1] の中の 第5章 増幅回路、5.6 差動電流増幅回路(4)、pp.127、図5.10 出力電流が指数的に増大する差動電流増幅回路 について説明します。 *1:青木 英彦 著:「アナログICの機能回路設計入門―回路シミュレータSPICEを使ったIC設計法 (C&E TUTOR…

別のアンチログ回路 (1) -- アナログシンセの VCO ブロック (38)

アンチログ回路については、これまで「VCO」カテゴリの中に入れていましたが、「アンチログ」のカテゴリを新設しました。 以前、単電源・低電圧での実現に適した、「ベース結合アンチログ」と名付けた回路を示しましたが、今回、別の回路を考えました。 とい…

アナログシンセの VCO ブロック (37) -- 温度補償回路(7)

SSM2164 のゲインセルの差動ペアのベースには、VCA としてのコントロール電圧入力端子 Vc に外部から加えられる電圧を内部の抵抗で 1/10 に分圧したものが与えられています。 前回の「差動ペアのベースに接続されている抵抗」とは、この分圧回路の 4.5 kΩ と…

アナログシンセの VCO ブロック (36) -- 温度補償回路(6)

SSM2164 は現行品であり、Digi-Key でも単価 620 円で1個から買えますが、7,500 円未満の注文では割高な送料がかかります。 そこで、別の国内の通販からコンパチ品の coolaudio 製 V2164D (単価 350円) を買うことにしました。 別に急ぐわけではないので、…

アナログシンセの VCO ブロック (35) -- 温度補償回路(5)

今回は、差動増幅回路による温度補償回路の誤差の量 (の理論値) を評価したいと思います。 一般の数値計算では、指数関数、対数関数、三角関数などの値を求めるのに、その関数を (無限) べき級数で展開した式を有限項で打ち切った近似式を用いて計算するのが…

アナログシンセの VCO ブロック (34) -- 温度補償回路(4)

今回は、差動増幅器を使って、ゲインが絶対温度に比例するアンプを (近似的に) 実現できる原理の説明をします。 まず、以前の記事でも示した、エミッタ結合型の普通のアンチログ回路を示します。

アナログシンセの VCO ブロック (33) -- 温度補償回路(3)

houshu さんの SSM2164 を使った温度補償回路の LTspice シミュレーションの追試のようすを書きます。 (→こちら)が回路図入力です。 トランジスタなどの番号は、システムが勝手に振っていった番号そのままで、houshu さんの回路図の番号とは合わせてありませ…

アナログシンセの VCO ブロック (32) -- 温度補償回路(2)

ゲインが絶対温度に比例する温度補償回路と、ベース結合アンチログ回路とを、同一の NPN トランジスタ・アレイ・チップ上の NPN トランジスタで構成した回路案を下に示します。 入力側はオーソドックスに OP アンプを使って CV 入力の加算をし、温度補償回路…

アナログシンセの VCO ブロック (31) -- 温度補償回路(1)

houshu さんがブログ 「アナログ電子楽器の回路を読む」 の 2009/08/26 付けの記事 「Exponential Converter Using SSM2164 Pt.1」 (→こちら) で VCA チップの SSM2164 を使った CV の温度補償 (絶対温度 T に比例したゲインを持たせる) と、同じ VCA 利用の…

XR2206 (15)

5 月 24 日および 5 月 31 日付けの記事の中で、OP アンプに TLC272 を使った回路に対して述べた、 変動が少なくなった 積分器出力が OP アンプの飽和電圧まで到達せず、途中の電圧値で止まる 現象は、TLC272 の裸のゲインが (このような応用に対しては) 小…

XR2206 (14)

相変わらず直線性の測定ですが、今度は別の方法を試してみることにしました。 とは言っても、下の回路図のように、何の変哲もない R-2R ラダー回路です。

XR2206 (13)

相変わらず、VCO の直線性の測定をやっています。 NJM4151 用の回路に3か所ほど変更を加えました。 回路図を下に示します。

XR2206 (12)

直線性の測定方法の妥当性を確かめるために、原理的に直線性の優れているリワインド方式の VCO をリファレンスとして測定して誤差の出方を見てみました。 測定回路を下に示します。

XR2206 (11)

前回 5/12 付けの記事での測定結果のグラフは、オフセット調整上の問題から、おそらく低電流域が正しくないと思われます。 オフセット調整法を変えて測定し直した結果を、前の結果と合わせてプロットしたグラフを下に示します。

XR2206 (10)

久しぶりの更新になってしまいましたが、XR2206 の VCO の直線性を測ってみました。 セント単位で誤差を表示したグラフを下に示します。 測定回路は後で示します。 思ったよりも直線性は良くありませんでした。 (5/15 追記: この結果の低電流域側は正しくあ…

XR2206 (9)

XR2206 で、のこぎり波を発生させる場合の波形写真を示します。 まず、VR3 を Vcc/2 側いっぱいに回して、3 番ピンのバイアスが一定の場合のランプ波形を下に示します。

XR2206 (8)

実験の本筋である、リニアリティの測定や、もっと精度の高い歪率測定などには、まだ手を付けていないので、今回は「小ネタ」をいくつか取り上げます。

XR2206 (7)

私も、やっと XR2206 を手に入れました。 さっそく、サイン波形の歪率の測定と、各部の波形/電圧の測定をしてみました。 と言っても、(ハードウェアの) 歪率計を持っているわけではないので、「efu」さん作成の PC のオーディオ入力を利用してスペアナを実現…

XR2206 (6)

最近では、実際に XR2206 を手に入れて、観測した波形写真などを載せた Blog などが増えてきました。 そのひとつである、「edy」さんの Blog 迷走の果て・Tiny Objects の 4/18 のエントリに AM 変調した波形と、1 kHz、1 MHz での三角波の波形写真が掲載さ…

XR2206 (5)

文献 *1 に従って、5 個の差動対からなる「Gilbert sine shaper」の LTSpice シミュレーションをやってみました。 *1:dos Reis Filho, C.A. Pessatti, M.P. Cajueiro, J.P.C.: "Analog Triangular-to-Sine Converter Using Lateral-pnp Transistors in CMOS …

XR2206 (4)

いろいろ考えた末、三角波から正弦波へ変換する回路として 調整後の歪率が 0.5% 程度 正弦波の振幅が三角波よりも小さくなる という特徴を持つ方式にたどり着くことができました。 はたして、これが実際に XR2206 で使われているかどうかは分かりませんが、…

XR2206 (3)

XR2206 の波形整形部の誤りを訂正して書き直した回路図をこちら (→) に示します。 VCO 部から矩形波を作り出している部分は、特に面白味もなく、誤りもないので省略します。 正弦波の整形部分は、 500 Ω 程度の抵抗を接続すると正弦波になり、オープンにする…